投稿日:2025.09.29 最終更新日:2025.09.30
タイル浮きの補修、どうやって直す?3つの最適な工法の選び方と実例を紹介

マンションの外壁を見上げたとき、「あのタイル、浮いてない?」と気になったことはありませんか。
「まだ落ちてないし、様子を見よう」と思いがちですが、タイルの浮きは剥落事故につながる危険なサインです。
とはいえ、「どうやって直すのか」「費用はどのくらいか」「どの業者に依頼すればいいのか?」なども分からず不安ですよね。
この記事では、修繕の施工実績6,000件以上専門家として、実際の補修事例をもとに、あなたの建物に最適な工法の選び方を具体的に解説します。
- タイルの浮きを放置するリスク
- 自分でできる簡単な浮きチェック方法
- 建物の状況に応じた工法の選び方
- 実際の事例から学ぶ判断基準
- 信頼できる業者の見極め方

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職歴:27年
得意分野:防水工事・外構工事・大規模改修管理業務
保有資格:1級建築施工管理技士、1級建築塗装技能士、1級ポリマーセメント防水、1級改質アスファルト防水、外壁1級仕上げ技能者、防水登録基幹技能者、外壁仕上基幹技能者、国際ライセンス サーモグラファーレベル1、監理技術者、職長安全衛生教育、他
目次
タイルの浮き、なぜ放置はNG?潜んでいる4つのリスク
タイルの「浮き」とは、タイルそのものや、タイルを壁に接着しているモルタルが、下地から剥がれかけている状態のことです。
「まだ剥がれていないし、まぁ大丈夫でしょ」と思うかもしれませんが、実はこの浮きが後々トラブルの原因になることがあります。
リスク1:第三者を巻き込む剥落事故
一番心配なのは、浮いたタイルがある日突然剥がれ落ちて、下を歩いている人にケガをさせてしまうことです。
実際に、外壁タイルが落下して死亡事故になったケースもあり、そうなると建物の所有者や管理者は刑事責任や高額な損害賠償を負うことになります。
リスク2:建物の寿命を縮める「雨漏り」
浮いた部分の隙間から雨水が入り込みやすくなるのも問題です。
壁の中に水が入ると、建物の骨組みである鉄筋が錆びて、コンクリート自体がもろくなってしまいます。
リスク3:どんどん膨らむ「補修コスト」
早いうちなら部分的な補修で済むのですが、放っておいて雨漏りや建物の劣化が進むと、工事の範囲がどんどん広がって、気がつけば数百万円の大工事になってしまうこともあります。
リスク4:見た目と資産価値の「低下」
タイルが浮いたりひび割れたりすると、そこから白い粉のような汚れ(エフロレッセンス)が出てきて、建物の見た目がかなり悪くなります。
「なんだか古くて管理の行き届いていない建物だな」という印象を与えてしまい、結果的に不動産価値の下落にもつながってしまいます。
まずは自分でチェック!専門家を呼ぶ前の「打診調査」とは
補修を考えるなら、まずは今の状況をしっかり把握することから始めましょう。
ご自分でもできる簡単なチェック方法と、プロがやる本格的な調査について説明します。
自分でできる「打診調査」のやり方
一番手軽にできるのが「打診調査」という方法です。
打診棒という道具(なければドライバーの柄でもOK)で壁を軽く叩いて、音の違いで浮きがあるかどうかを調べます。
- 正常な部分: コンクリートに直接当たっているような、硬く詰まった低い音(コンコン、コツコツ)
- 浮きがある部分: 壁の向こうに空洞があるような、軽く響く高い音(ポンポン、ポコポコ)
ただし、高いところは危険なので、手の届く範囲だけにしておいてくださいね。
プロはここまで見る!専門家による精密調査
プロになると、もっと本格的で正確な調査をします。
全面打診調査
打診棒で壁全体をくまなく叩いて浮きを調べ、問題のある箇所にマーキングしたり図面に記録したりします。
赤外線サーモグラフィー調査
赤外線カメラで壁の温度を測って、浮きがある部分を見つける方法です。
浮いている部分は熱がこもって周りより温度が高くなるので、それを利用して広い範囲を効率よく調べられます。
足場を組まずに高い場所を調査したいときなどに重宝します。
タイル浮きの補修方法は?症状で変わる3つの基本工法
タイルの浮きを直す方法は、大きく分けて3つあります。
【確実性重視】タイル貼り替え工法
浮いている部分のタイルと下地のモルタルを一度全部取り除いて、下地をきれいにしてから新しいタイルを貼り直す方法です。
手間はかかりますが、一番確実です。
- 浮きや雨漏りの原因を根本から除去できる
- 新築時のような美しい仕上がりになる
- 既存タイルと完全に同じものが見つからない場合がある
- 騒音や粉塵が発生する
- 他の工法に比べて費用が高い
- 部分補修:20,000円~50,000円/箇所
- 全面改修:15,000円~35,000円/㎡
【コスト重視】エポキシ樹脂注入工法
浮いている部分に小さな穴を開けて、そこからエポキシ樹脂という強力な接着剤を流し込んで、タイルと下地をくっつけ直す方法です。
- 注入する樹脂の量に技術者の経験が問われる
- 下地の劣化が激しい場合は適用できないことがある
- 既存タイルと完全に同じものが見つからない場合がある
- 騒音や粉塵が発生する
- 他の工法に比べて費用が高い
- 4,000円~8,000円/㎡
【安全性重視】アンカーピニング併用エポキシ樹脂注入工法
エポキシ樹脂を注入した後、ステンレス製のピン(アンカーピン)を差し込んで、タイル・モルタル・建物本体を物理的につなげる方法です。
接着剤でくっつけて、さらにピンで固定するダブルの安全策なので、万が一接着が弱くなってもタイルが落ちる心配がありません。
- 樹脂注入工法の利点に加え、さらに高い安全性を確保できる
- タイルの剥落防止で、現在一番使われている信頼性の高い工法
- 樹脂注入のみの場合より、やや費用が上がる
- 6,000円~12,000円/㎡
【予防のための先進工法】今のタイルを活かす「タフレジンクリアガードHD工法」
ここまでは、すでに浮いてしまったタイルを直す方法でした。
しかし、「まだ浮いてはいないけど、将来的な剥落が心配」というタイル面には、今あるタイルを活かしながら、上から強力に保護する予防的な工法もあります。
それが、私たちゆうき総業も採用している「タフレジンクリアガードHD工法」です。
この工法は、強靭なウレアウレタン樹脂でタイル面全体をコーティングして、さらにアンカーピンで物理的に固定することで、タイルの柄や色合いを変えずに剥落リスクを大幅に減らせます。
- 10年のメーカー保証が付与される
- 第三者賠償責任保険に加入した施工体制
- 0.25mm以上の浮きは事前にアンカー工法で固定してから施工
貼り替えと違って廃材も出ないので環境にも優しく、これからのタイル改修のスタンダードになっていくと思います。
- 築年数が古く、タイルの接着力が全体的に弱まっている
- 落下すると特に危険な、交通量の多い道路に面した建物
- これ以上タイルの劣化を進めたくない、予防保全を重視したい
私たちゆうき総業は、この工法の東北第一の認定店として、品質と安全性を保証した施工を提供しています。
あなたの建物はどのケース?事例で学ぶ最適な工法の選び方
さて、これまで見てきた工法の中から、自分の建物に合うものを選ぶには、どう考えればいいでしょうか。
ポイントは、この3つです。
- 浮きの範囲: 浮きは限定的か、広範囲に広がっているか
- 下地の状態: 下地の劣化は軽微か、深刻か
- 優先順位: 予算、美観、長期的な安全性、何を一番重視するか
ケース1:「部分的な浮き」で費用を抑えたい
状況 | 築15年のマンション。打診調査で、数カ所にポツポツと浮きが確認された。下地の劣化はそれほど進んでいない。 |
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最適な工法 | アンカーピニング併用エポキシ樹脂注入工法 |
選定理由 | 浮きがポツポツと限られた範囲なので、全面貼り替えは費用的にもったいないですね。今あるタイルを活かせる注入工法がベストでしょう。 |
実際の事例:横浜市9階建てビル
営業中のテナントビルで、ラスタータイルの軽微な浮きが複数箇所で発見されたケースです。
工期短縮も重要な要素でしたが、浮きが確認された箇所にドリルで小さな穴を開け、エポキシ樹脂を圧入。
さらにタイルと同色のアンカーピンで物理的に固定することで、営業に支障をきたすことなく工事を完了できました。
特に、安全性と信頼性が一番高いアンカーピン併用の方法なら、将来の不安もスッキリ解消できます。
アンカーピンはタイルと同じ柄で化粧されているため、施工後も目立ちません。
ケース2:「広範囲な浮き」と「雨漏り」を根本解決したい
状況 | 築30年のビル。壁の広範囲に浮きが見られ、一部はすでに剥がれ落ちている。サッシ周りからは雨漏りも発生。 |
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最適な工法 | タイル貼り替え工法 |
選定理由 | 浮きが広範囲で、しかも雨漏りまで起きているとなると、表面だけちょこちょこ直しても根本的な解決にはなりません。こういう場合は、一度すべて剥がして防水層からやり直す「タイル貼り替え工法」でないと、根本的な解決にはなりません。 |
実際の事例:宮城県10階建てマンション
定期点検により一部のタイルに浮きと割れが発見されたケースです。
管理組合の予算制約もありましたが、打診調査でマーキングした箇所のみを慎重に撤去し、同じ色に焼いた新しいタイルで張り替えを実施しました。
- 周囲のタイルを傷つけないよう細心の注意を払った撤去作業
- ハンドブレーカーで丁寧な作業を実施
- 結果:どこを張り替えたか分からないほど自然な仕上がり
費用はかかりますが、長い目で見れば一番確実で安心できる方法です。
ケース3:「予防保全」で将来の剥落リスクをなくしたい
状況 | 公共施設や人通りの多い道路に面した建物。万が一の事故が許されない重要な建物。 現在は軽微な浮きでも、将来的なリスクを最小限に抑えたい。 |
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最適な工法 | タフレジンクリアガードHD工法 |
選定理由 | 既存のタイルを活かしながら、長期的な安全性を確保できる。10年のメーカー保証と第三者賠償責任保険による安心感。 |
実際の事例:宮城県ポンプ場
- 全面の打診調査を実施
- 0.25mm以上の浮きがある箇所に事前にアンカーピンを打設
- 強靭なウレアウレタン樹脂で全面をコーティング
- タイルの意匠性を保ちながら剥落リスクを大幅に軽減
- 10年のメーカー保証を付与
- 第三者賠償責任保険による安心感
初期費用は高めですが、長期的にはコストパフォーマンスに優れた選択といえます。
失敗しない業者選び、プロが教える3つのチェックポイント
建物の安全に関わるタイル補修だからこそ、業者選びは慎重にいきたいところです。
しかし、たくさんある業者の中から「ここなら安心」という業者をどう見つければいいのでしょうか。
ここでは、とても大切な3つのポイントをお話しします。
ポイント1:公共工事などの「実績」と「専門資格」
まず、ホームページなどでタイル補修の実績がどのくらいあるかチェックしてみましょう。
特に、公共事業や大きなマンションの修繕工事を手がけているかどうかは、技術力と信頼性を測る良い目安になります。
「1級建築施工管理技士」などの国家資格を持ったスタッフがいるかも、専門性を判断する材料の一つですね。
ポイント2:原因を突き止める「調査力」と「提案力」
ただ工事をするだけでなく、「なぜタイルが浮いたのか」という根本原因をしっかり調べて、分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。
信頼できる業者なら、「これしかありません」と一つの方法を押し付けたりしません。
建物の状態や将来の計画を考えて、いくつかの選択肢を示して、それぞれの良い点・悪い点を丁寧に説明してくれるはずです。
見積書の中身が詳しく書かれているかも、その業者が誠実かどうかを見極める大切なポイントです。
ポイント3:地元での評判とアフターフォロー
地元で長く商売をしている業者は、評判を何より大事にしているので安心感があります。
また、工事が終わった後の保証や定期点検など、アフターフォローがちゃんとしているかも、長く安心して任せるためには大切なポイントです。
私たちゆうき総業は、山形・宮城で創業50年以上、地域の皆様の建物を守り続けてきました。
公共事業も請け負う確かな技術力と、雨漏り調査の専門家としての知見を活かし、お客様の建物にとって最適なご提案をします。
タフレジンクリアガード工法の東北第一の認定店として、品質と安全性を保証した施工を提供しています。
まとめ:タイル浮きのサインを見つけたら、まずは専門家に相談を
この記事では、タイルの浮きを放っておくとどうなるか、どんな補修方法があるか、そして信頼できる業者の見つけ方まで説明してきました。
タイルの浮きは、事故につながるサインです。
放っておくと人にケガをさせてしまうかもしれませんし、建物自体の寿命も縮めて、結果的に補修費用がかかる可能性もあります。
- タイルの「浮き」は重大な剥落事故の前兆
- 放置は人身事故、資産価値低下などのリスクに直結
- 補修方法は「貼り替え」「樹脂注入」「アンカーピンニング」が代表的
- 最適な工法は、浮きの範囲、下地の状態、優先順位で決まる
- 業者選びは「実績」「調査・提案力」「アフターフォロー」が鍵
少しでも「あれ?」と思う箇所があったら、放置せず、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。
「どこに相談すればいいか分からない」「うちの壁は大丈夫か、一度見てほしい」
そんな時は、ぜひ私たちゆうき総業にご相談ください。
公共事業も手掛ける専門家が、無料で建物の状態を診断して、お客様にとってベストなご提案をいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。