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専門家が教えるマンション大規模修繕の9つのトラブルと対策 | 大規模修繕

専門家が教えるマンション大規模修繕の9つのトラブルと対策

マンションの大規模修繕工事の工事期間中は日常生活に様々な影響が出ます。騒音や振動、プライバシーの問題、そして予期せぬトラブルもあります。 しかし、こうした問題に対処するためには、まずどんなトラブルが起こり得るのかを把握し、その対策を事前に知っておくことが重要です。 この記事では、大規模修繕工事中によく起こるトラブルとその対策について、具体的に見ていきます。工事を前にして不安を感じている方も、これから計画を立てる方も、ぜひ参考にしてください。 マンションに必要不可欠な「大規模修繕工事」とは? 大規模修繕工事は、マンションの長寿命化と資産価値の維持向上を目的とした重要な取り組みです。通常12〜15年ごとに行われるこの工事は、建物全体に足場を組み、数ヶ月かけて実施されます。 主な目的は、建物の寿命延長、資産価値の維持・向上、そして居住者の快適性と安全性の確保です。 具体的な工事内容は多岐にわたり、外壁塗装やタイルの補修、防水工事、鉄部の塗装、給排水管の更新、共用部分の設備更新などが含まれます。 これらの作業により、マンションの経年劣化に伴う建物や設備の劣化を防ぎ、住環境の質を保つことができます。 大規模修繕工事は、マンションを長く快適に使い続けるための必要不可欠な投資と言えるでしょう。 居住者の皆さまにとって、この工事は一時的な不便を伴うかもしれませんが、長期的にはマンションの価値を守り、快適な住まいを維持するための重要な取り組みです。 計画的に実施することで、将来にわたって安心して暮らせる住環境を確保できるのです。   居住者の協力が必須!よくあるトラブル「9つ」と対策 1. 費用負担で生じる住民間の対立 マンションの大規模修繕工事では、費用負担をめぐって住民間で対立が生じることがあります。これは主に、各住民の経済状況や修繕に対する考え方の違いが原因です。この問題を解決するためには、以下の対策が効果的です: 修繕の必要性や費用内訳を明確に説明し、情報を共有する 長期修繕計画を立て、計画的に積立金を積み立てる 分割払いなど、柔軟な支払い方法を用意する 中立的な専門家の意見を取り入れる 定期的な集会や個別面談で、住民間の対話を促進する これらの対策を通じて、住民全体で「共に暮らす」という意識を持ち、マンションの長期的な価値維持・向上の重要性を理解することが大切です。管理組合は中立的な立場で、合意形成に向けた調整役を果たすことが求められます。 2. エアコン室外機の移設問題 大規模修繕工事では、外壁塗装や防水作業のために足場を組む必要があります。その際、ベランダに設置されているエアコンの室外機が工事の妨げになることがよくあります。 工事期間中は室外機の一時的な移設が必要となりますが、これには予想以上の手間とコストがかかる可能性があります。移設作業自体の費用だけでなく、保管場所の確保や電気工事などの追加費用も発生するかもしれません。 さらに、移設によってエアコンの効きが悪くなるなどの問題が起こる可能性もあるため、事前の十分な説明と対策が欠かせません。 居住者の理解と協力を得るためにも、これらの潜在的な問題点を早めに共有し、適切な対応策を講じることが重要です。 「エアコン室外機のトラブル」について、入居者目線・施工側目線に分けて詳しく解説していますので、下記記事もあわせてご覧ください! 3. ベランダ使用制限によるトラブル 大規模修繕工事を滞りなく進めるためには、ベランダの片付けが不可欠です。しかし、これが思わぬトラブルの種になることがあります。 長年使用していない物や大型の家具などが置かれていることも多く、居住者の協力が得られないケースが少なくありません。 また、植物や洗濯物干し場の移動など、日常生活に直接影響が出ることへの不満も生じやすいものです。 このようなトラブルを避けるためには、工事の必要性と片付けの重要性について、事前に丁寧な説明を行うことが大切です。居住者一人ひとりの理解と協力を得ることが、工事をスムーズに進める鍵となります。 必要に応じて、一時的な収納スペースの提供など、居住者の負担を軽減する対策も検討しましょう。 「ベランダのトラブル」について、入居者目線・施工側目線に分けて詳しく解説していますので、下記記事もあわせてご覧ください! 4. 工事廃棄物の管理不足によるゴミ問題 大規模修繕工事では、古い外壁材や防水材、足場材など、大量の廃棄物が発生します。これらの廃棄物の適切な処理と管理が、意外と大きな課題となることがあります。 分別が不十分だったり、一時的な保管場所の確保ができないと、マンションの美観を損ねたり、悪臭や衛生面での問題が発生する可能性があります。また、居住者の日常的なゴミ出しにも影響が出かねません。 これらのトラブルを防ぐためには、工事業者と管理組合が連携して、適切なゴミ処理計画を立てることが重要です。 リサイクル可能な材料の分別や、効率的な廃棄物の搬出スケジュールの策定など、環境に配慮しつつコストを抑える工夫が求められます。 「ゴミのトラブル」について、入居者目線・施工側目線に分けて詳しく解説していますので、下記記事もあわせてご覧ください! 5. 騒音・振動によるストレス 大規模修繕工事中は、避けられない騒音や振動が発生します。足場の組み立てや解体、外壁の高圧洗浄、ドリル音やハンマー音、重機の稼働音など、様々な音が日中続くことになります。 これは、居住者にとって大きなストレスとなる可能性があります。 特に、在宅勤務や育児中の家庭、高齢者などにとっては大きな問題です。 振動に関しても同様で、特に高層階の住戸では、下層階での工事の影響が予想以上に伝わることがあります。 このようなトラブルを最小限に抑えるためには、工事の時間帯や騒音の大きさについて事前に十分な説明を行い、可能な限り居住者の生活リズムに配慮した工程を組むことが重要です。 また、一時的な代替住居の提供や、騒音の少ない共用スペースの確保など、居住者への配慮も検討する必要があります。工事業者と管理組合が協力して、きめ細かな対応を心がけることが大切です。 「騒音トラブル」について、入居者目線・施工側目線に分けて詳しく解説していますので、下記記事もあわせてご覧ください! 6. マンションの「外観」、室内からの「景観」に関する問題 大規模修繕工事では、外壁の色や素材が変更されることがあります。これにより、マンションの外観が大きく変わる可能性があり、居住者の中には不安や不満を感じる人もいるでしょう。 長年慣れ親しんだ景観が変わることへの抵抗感や、個人の好みと合わない色彩への不満が生じることは珍しくありません。また、工事中は室内からの眺望が足場によって一時的に遮られることへの不満も予想されます。 このようなトラブルを避けるためには、事前に複数のデザイン案を提示し、居住者の意見を積極的に取り入れるなど、丁寧な合意形成のプロセスを踏むことが重要です。 専門家のアドバイスを交えながら、居住者全体で議論を重ね、より多くの人が納得できる選択をすることが大切です。 「景観トラブル」について、入居者目線・施工側目線に分けて詳しく解説していますので、下記記事もあわせてご覧ください! 7. 近隣住民とのトラブル 大規模修繕工事は、マンションの居住者だけでなく、周辺住民にも少なからず影響を与えます。工事車両の出入りによる交通障害、騒音や粉塵の飛散、日照や電波障害など、様々な問題が発生する可能性があります。 これらのトラブルを未然に防ぐためには、工事の概要や期間、予想される影響などについて、事前に丁寧な説明を行い、近隣住民の理解と協力を得ることが不可欠です。また、工事中も定期的にコミュニケーションを取り、苦情や要望に迅速に対応することで、良好な関係を維持することができます。近隣住民への配慮は、工事の円滑な進行だけでなく、マンションの評判や資産価値にも影響を与える重要な要素です。管理組合と工事業者が協力して、きめ細かな対応を心がけましょう。 「近隣トラブル」について、入居者目線・施工側目線に分けて詳しく解説していますので、下記記事もあわせてご覧ください! 8. プライバシーに関する問題 大規模修繕工事中は、足場の設置や作業員の出入りにより、居住者のプライバシーに関する問題も発生します。対策として、工事説明会などで作業中はカーテンを閉めるようにお願いしておきましょう。定期的な注意喚起も必要です。また、作業員の配慮も重要です。プライバシーに配慮が必要な作業のスケジュールも事前に説明しておくといいでしょう。 9. 工期延長と生活への影響 工期延長は、マンション居住者の日常生活に大きな影響を及ぼします。生活リズムの乱れや長期的な不便さへの対応、予定外の追加費用発生の可能性など、様々な課題が生じます。また、不動産取引の計画変更を余儀なくされることもあります。 これらの問題に対処するには、管理会社や施工会社などに任せっきりにせず、定期的なコミュニケーションがを取ることが重要です。工期が延びればそれだけ費用が必要になるので、関係各社としっかりと話し合って進めましょう。 また、施工ミスや見積もり不足による延長を防ぐためにも、実績のある業者を選定することも非常に重要です。 まとめ 大規模修繕工事は、マンションの価値を維持・向上させるために不可欠な取り組みですが、同時に多くのトラブルが発生する可能性があります。 これらのトラブルを最小限に抑えるためには、事前の十分な準備と情報共有、居住者間の協力、そして専門家のアドバイスが重要です。 工事中は、居住者の生活に配慮しつつ、柔軟な対応と定期的なコミュニケーションを心がけることが大切です。 また、近隣住民への配慮も忘れてはいけません。適切に計画され、実施された大規模修繕工事は、マンションの価値と居住環境を大きく向上させる重要な投資となります。 トラブルを恐れるのではなく、それらを適切に管理し、乗り越えていくことで、より快適で安全な住まいを実現できるのです。

マンションの大規模修繕とは?工事内容や費用・期間などを徹底解説 | 大規模修繕

マンションの大規模修繕とは?工事内容や費用・期間などを徹底解説

マンションの大規模修繕工事とは? 大規模修繕工事とは、建物の経年劣化を防ぐための大掛かりな工事のことを指します。 特に「マンションの」大規模修繕工事では、共有部分の外壁や屋根の防水処理、給排水管の交換などが主な対象となります。マンションでは、多くの住民が共同で所有しているため、計画的な修繕積立金の運用と合意形成が重要です。これにより、建物の価値を長期間にわたり維持することが可能になります。 大規模修繕工事は工期が長く、費用も高額になるため、計画性を持って実施することが重要です。 ちなみに修繕と改修の違いは何? 「修繕」と「改修」は似た言葉ですが、意味合いが異なります。 修繕は建築当時の水準まで機能・性能を回復させることを目的とした工事で、不具合箇所の修理や部材の取り替えなどを行います。 これに対し、改修は機能の維持や回復だけでなく、建物全体の機能・性能面を進化させ、住みよいマンションにしていくことを目的とする工事です。 設備や材料の進歩を取り入れ、現在の水準に見合うようにマンションをグレードアップすることで、暮らしやすさと資産価値の維持向上を図ります。 関連記事: マンションで大規模修繕工事が必要な理由 例えばマンションは頑丈な造りではありますが、風雨や日射の影響を受け、年月とともに経年劣化が進みます。 建物を長く安全に使っていくためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。 特に重要なのは、コンクリート内部の劣化を抑制することで、ひび割れや防水層の亀裂などから水や空気がコンクリート内部に入り込むと、鉄筋がさびて建物の強度が弱くなります。 この内部に至る深刻な劣化を予防するには、劣化が軽度のうちに発見し、修繕することが大切です。 大規模修繕工事では、壁の補修などで足場を設置し、その際に足場が必要な工事をまとめて行うため、大掛かりな工事になります。 また、適切な時期に大規模修繕工事を行うことは、マンションなどの資産価値の維持にも繋がります。 経年劣化を放置すれば、見た目や快適性の面で差が広がり、防犯設備の強化やバリアフリー化など新しいライフスタイルに対応した改修工事も、資産価値を高めることに役立ちます。 マンションの大規模修繕工事にかかる費用 マンションの大規模修繕工事にかかる費用は、戸あたり130~150万円程度が目安とされていますが、これはあくまでも目安であり、マンションの規模によって異なります。 総額では数千万から億単位になることもあります。しかし、区分所有者が一括で支払うことはほとんどありません。 通常、管理組合が「修繕積立金」として毎月徴収し、積み立てているからです。 国土交通省の平成29年の調査によると、大規模修繕の一戸あたりの費用は、75万円~100万円が最も多く(30.6%)、次いで100万円~125万円(24.7%)、50万円~75万円(13.8%)となっています。 つまり、最も多いケースで一戸あたり約100万円かかることになり、総戸数100戸のマンションでは、大規模修繕の総費用は約1億円にもなります。 関連記事: マンション所有者は修繕積立金を積み立てます 区分所有者は、この高額な費用を賄うために、毎月一定の修繕積立金を積み立てています。 平成30年度の調査では、修繕積立金の平均金額は1万1243円でした。 ただし、この平均金額は上昇傾向にあり、積立額が計画に比べて不足しているマンションも34.8%存在しています。 修繕積立金の支払いが難しくなった場合は、滞納する前に管理会社や管理組合に相談することが大切です。 滞納が続くと、最悪の場合、給与や口座の差し押さえなどの事態に発展する可能性があります。 支払いが厳しい状況では、早めに売却を検討するのも一つの選択肢と言えるでしょう。 関連記事: マンションの大規模修繕工事にかかる期間 マンションの大規模修繕工事の期間は、「計画から着工まで」と「着工から工事完了まで」の2つに分けられます。 「計画から着工まで」は、工事計画の作成、住民への説明会開催、同意取得などの過程を経るため、一般的に1~2年程度かかります。 「着工から工事完了まで」は、マンションの規模によって異なります。目安としては、以下の通りです 小規模マンション(総戸数50戸未満):3~4ヵ月 中規模マンション(総戸数50~100戸):4~6ヵ月 大規模マンション(総戸数100戸以上、団地、超高層タワーマンションなど):6ヵ月~1年以上 工事期間中は、建物周囲に足場が建ち、作業員や車両の頻繁な出入りがあります。また、洗濯物干しや窓開け、バルコニーの使用などに制限がかかることもあるため、日常生活へのストレスを極力抑える工夫が必要です。 2回目以降の大規模修繕工事では、修繕する工事項目が多くなり、工事内容も手間がかかるため、1回目よりも工事期間が長くなる傾向があります。 マンションの大規模修繕工事は、計画から完了まで、トータルで2~3年程度を要する大きなプロジェクトと言えるでしょう。 マンションの大規模修繕工事の周期と回数 マンションの大規模修繕工事の実施時期や回数に決まりはありませんが、一般的には12~15年周期で行われることが多いです。 これは、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」や、新築時の建材の保証期間が10年程度であることが理由の一つとされています。 近年は、耐久性や防汚効果に優れた製品を使用することで、次回の修繕までの周期を15年・18年と延ばし、修繕費用を抑える工夫を検討するマンションも増えてきています。 実際に修繕に取り掛かるかどうかは、建物の状態から総合的に判断する必要がありますが、前回の修繕から10年を超えた頃から、大規模修繕の実施について協議を始めるマンションが多いようです。 関連記事: 工事の内容は、回数・劣化具合で変わる 1回目は主に外壁を中心に行われますが、2回目は外壁だけでなく、玄関ドアやアルミサッシなど、建物内側の付属的な部位も含めて修繕工事が行われ、より広範囲になることが多いです。 築後25年目から30年以上経過した頃に行われる3回目の工事では、建物のほぼ全域を対象とした大規模修繕工事が行われ、法律などに基づき、その時代に合わせた設備や部材の更新、耐震補強工事、省エネ化などの工事が付随して行われることが多くなります。 建物を長持ちさせ、マンションに長く快適に住むためには、定期的な修繕や改修を行い、マンションの機能や性能を維持・向上させていくことが重要です。 関連記事: マンションの大規模修繕工事の内容・進め方 大規模修繕工事を実施するためには、まず管理組合内で体制づくりが必要です。 理事会が主導する場合もありますが、修繕委員会などの専門委員会を設置することもあります。 修繕委員は計画段階から工事完了まで務めるのが一般的で、継続的な対応が可能になり、理事の負担軽減にもつながります。 体制が固まったら、「現状調査」を実施し、その結果に基づいて「予算や修繕計画の立案」を行います。 修繕箇所の優先順位をつけて予算を振り分け、実施計画を作成することが大切ですが、専門知識を持った人のアドバイスを取り入れながら計画案を作成することをお勧めします。 その後、施工会社を選定し、住人向けの工事説明会を開催して着工に移ります。 工事の主なステップ 仮設工事:足場や現場事務所などの仮設設備を設置 下地補修工事:壁や天井などのひび割れを補修 タイル補修工事:浮いたり、ひび割れたタイルを補修 シーリング工事:外壁のつなぎ目やサッシ廻りのシーリング材を打ち替え 塗装工事(外壁):外壁の塗装を塗り重ねるか、塗料を除去して塗装し直す 塗装工事(鉄部):扉や外部階段、手すりなどの鉄部の錆を落として塗装 防水工事:屋上やバルコニー、廊下などに防水工事を実施 そのほか、エントランスの改修工事、玄関扉やサッシの交換工事、給排水管の更新・更生工事など、必要に応じて付随工事を行います。大規模修繕工事の際、劣化個所の補修に加えて機能改善や時代に合わせた設備を取り入れることで、快適性や安全性を高めることができます。 マンションの大規模修繕工事のよくあるトラブルと対策 大規模修繕工事においては、管理組合が中心となって工事を進める過程で、様々なトラブルが発生し得ます。 これらの問題を避けるためには、事前の準備と組織内のコミュニケーションが不可欠です。 まず、管理組合内での意見の不一致を解消するためには、透明性のある広報活動と組合員全体での意見の共有が重要です。 また、工事開始後に予想外の追加工事が必要になる場合がありますが、これを防ぐためには、事前の建物診断を徹底し、適切な計画を立てることが重要です。 管理組合内の意見がまとまらない 理事会や修繕委員会が組合員に向けた説明会を開催し、途中経過や経緯の説明、意見聴取など広報活動を重ねることが大切です。公平性や透明性を保ち、管理組合全体で方向性を共有できるようにしましょう。 工事開始後に施工箇所が増え、予算を大幅に超える 事前にきちんと建物診断を行い、現在の建物の状態を踏まえ、適切な補修と機能向上が図れるよう資金面とのバランスも考えながら工事の内容を計画していくことが大切です。 仕上がりが思っていたのと違う 事前に材料のサンプルを確認し、実際の使用環境で色味や質感を確かめましょう。また、工事が始まる前に本番と同じ材料や工法で部分的に「試験施工」を行うことも有効です。 トラブルを防ぐための対策 施工会社など工事の窓口となっている人に相談し、関係する業者とは綿密にコミュニケーションをとりながら進めていくことが大切です。 修繕委員会のメンバーは、専門知識の有無にこだわらず、性別や年代、家族構成などさまざまな立場の人からバランスよく選出することが大切です。 近隣のマンションや同じデベロッパーの物件の管理組合、同じ管理会社に管理を委託しているマンションの管理組合などと情報交換するのも有効です。 管理組合が主体的に取り組み、管理会社や施工会社、工事監理の会社に任せっきりにせず、進捗状況を定期的に確認することが必要です。 関連記事:

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マンションの大規模修繕に「火災保険」は適用される?意外な落とし穴を解説!

大規模修繕は建物の価値を維持し、居住者の安全を確保するために欠かせない重要な工事です。 しかし、その際の火災保険の取り扱いについては、意外と見落とされがちな点があります。本記事では、大規模修繕時に知っておくべき火災保険の活用方法について詳しく解説していきます。 マンションの火災保険は「共用・専有部分」で異なる! 大前提、マンションの火災保険は「共用部分と専有部分」で加入方法が異なります。 共用部分の保険は管理組合が加入し、専有部分は各区分所有者が個別に加入するのが一般的です。 共用部分の保険では、建物の構造部分や共用設備が補償対象となり、火災だけでなく、水災や風災などの自然災害も補償範囲に含まれることが多いです。ここからは共用部分と専有部分における保険の違いを解説していきます。 共用部分の保険について そもそも共用部分とは、エントランスや廊下をはじめ、エレベーター、階段、屋上、外壁など、「マンションの居住者全員で共有する部分」のことです。 共用部分の火災保険の加入者はマンションの管理組合で、保険の種類としては、マンション総合保険(マンション管理組合向けの火災保険)です。マンション全体の共用部分を一括して補償してくれるといった特徴があります。 具体的には、 建物の構造部分(躯体) 共用設備(エレベーター、給排水設備など) 共用の動産(ロビーの家具など) 施設賠償責任(共用部分の欠陥による事故の補償) など、一般的な共用部分すべてき適用されるというわけです。 専有部分の保険について 専有部分とは、各居住者が単独で所有する住戸部分(一般的に壁の内側・室内など)です。 専有部分の保険加入者は基本的に「居住者」で、個人向けの火災保険に入ることが一般的です。各住戸の内装や設備を個別に補償が効きます。 専有部分の火災保険は、たとえば内装・造作や、居住者の家財保険・個人賠償責任保険などが該当します。 【よくある間違い】火災保険は“大規模修繕”には適用されない よく「大規模修繕の費用を火災保険でカバーできる」と思われがちですが、これはできないケースがほとんどです。 というのも火災保険というのは、突発的な事故や災害による損害を補償するものであり、計画的な修繕工事には適用されません。そのため「大規模修繕に備えて、保険に入ろう」という考えは誤りだということは前提知識として覚えておきましょう。 一方で、修繕工事中に発生した予期せぬ事故・損害については保険が適用される可能性がありますので、その点もあわせておさえておくと良いでしょう。 もちろん事故や思わぬトラブルの可能性はゼロではありませんが、大前提「しっかりと管理の行き届いた施工をしてくれる修繕業者に頼む」ことがベストですね。 修繕に備えて「保険に入るべきケース」とは? ここからは大規模修繕時などの状況も踏まえて、結局保険に入るべきか?について解説していきます。 結論、火災保険についてはマンションオーナーが任意で加入する or しないを選んでいただければOKですが、特に大規模修繕工事では“一般的な補修”とは異なるリスクが発生するケースがあります。 たとえば足場設置時の盗難リスクや、工事中の事故による物品の破壊などです。このため、工事期間中の補償内容を見直し、必要に応じて特約を追加することが重要です。また、工事業者が適切な保険に加入しているか確認することも、トラブル防止につながります。 大規模修繕に向けた火災保険の準備 大規模修繕を控えている場合、工事開始前に火災保険の内容を見直すことをおすすめします。特に、築年数や過去の修繕履歴によって保険料が変動する可能性があるため、定期的な見直しが重要です。また、マンション管理士やコンサルタントに相談し、適切な保険プランを選択することで、将来的なリスクに備えることができます。 まとめ 大規模修繕時の火災保険活用は、マンションの資産価値を守り、予期せぬ事態に備える上で非常に重要です。本記事で紹介したポイントを参考に、管理組合や専門家と連携しながら、適切な保険対策を講じていただければと思います。

マンションの大規模修繕の適切な周期(タイミング)とは|12年?15年?18年? | 大規模修繕

マンションの大規模修繕の適切な周期(タイミング)とは|12年?15年?18年?

マンションの大規模修繕の実施時期・周期(タイミング)の目安 一般的に、大規模修繕の実施周期は12年ごととされていますが、これは劣化状態の診断に基づき、適切な計画を立案するためです。 周期に目安はありますが、実際の時期はマンションの具体的な劣化状況に応じて決定します。 例えば、建物の日常的な保守・点検がしっかりされているか、環境が建物に与える影響(塩害など)が少ない地域か、高品質の材料で建築されたたかどうか、などの要因によっては18年に、修繕周期を延長できる場合もあります。 このような延長ができるかどうかは、定期的な建物診断を行い、その結果を基に計画的に行う必要があります。 関連記事 マンションの大規模修繕は12年周期が一般的? マンションの大規模修繕は、一般的に12年周期で行われることが多いですが、その理由には主に3つの要因があります。 1.国土交通省が公開している「長期修繕計画作成ガイドライン」の影響 平成20年版のガイドラインでは、大規模修繕工事の周期を12年程度とする例が紹介されていました。 これを参考にする管理会社や設計事務所が多かったため、12年周期が一般的になりましたが、あくまでも目安として示されているだけで、12年周期を定めているわけではありません。 2.特定建築物定期調査における全面打診調査の義務化 改正建築基準法により、竣工・外壁改修後10年を経た建築物は、全面打診等による調査が義務付けられました。 全面打診調査には足場が必要なため、大規模修繕と同時に行うことでコストを抑えられることから、12年目に大規模修繕を実施するケースが増えました。 3.塗膜などの劣化を考慮しているため マンションに使用される塗料の寿命は8〜12年程度と言われており、12年以上経過すると浮き、ひび割れ、欠損などが進行し、コンクリート躯体を十分に保護できなくなります。 15年周期で大規模修繕を行う場合、次の修繕までの間隔が長くなるため、劣化が進み、修繕費用が高額になる可能性があります。 大規模修繕の周期を18年に延長できる場合も マンションの大規模修繕工事は、一般的に12年周期が多いですが、近年「過剰・不要な修繕費用にまで修繕積立金を払いたくない」と考える管理組合が増加していることを受け、大手マンション管理会社が提唱しているのが「大規模修繕工事の周期延長」です。 高耐久化の工事を行うこと(例えば、高耐久タイプのシーリング材を使用するなど)で、周期を16〜18年程度に延長し、トータルでの大規模修繕工事の回数を減らすことで、長期的に大きなコストダウンが可能になります。 ただし、長周期化によるコスト削減効果を正確に把握するためには、竣工後60年程度の長期修繕計画を立案する必要があります。 また、建物の劣化の度合いは、立地環境や施工品質、使用材料の性能などによって異なるため、一律に修繕期間を決めるべきではありません。 また、管理組合の財政状況を考慮し、12年周期での大規模修繕が難しい場合は、周期を延長することも検討すべきでしょう。 大規模修繕の周期を18年に延長できるのはどんな場合? 主に、建物のメンテナンスが非常に良好に管理されている場合、使用されている材料の耐久性が高い場合、または先進的な技術や改良された建築方法が用いられている場合に延長が可能となります。 具体的には、建物の日常的な保守・点検がしっかりと行われており、小さな修繕が迅速に対応されている場合や、環境要因が建物に与える影響が少ない地域(塩害のない地域かどうかなど)である場合、最初から高品質の材料を使用して建築された建物では、大規模修繕の必要性を抑えることができ、修繕周期を延長することが現実的に考えられます。 しかし、このような延長は、専門家による定期的な建物診断を行い、その結果を基に安全性を確保しつつ計画的に行う必要があります。 例えば、定期的に外壁の打診調査やシーリングの点検を行い、必要に応じて部分的な修繕を加えることで、全体の修繕周期を延ばすことが可能です。 また、建物全体の構造的な安全性に問題がなく、内部設備や外装の小さな劣化がしっかり管理されている場合にも、大規模修繕の周期を延長することが考えられます。

マンション大規模修繕でエアコンが使えない?よくあるトラブルと対策を解説 | 大規模修繕

マンション大規模修繕でエアコンが使えない?よくあるトラブルと対策を解説

マンションのバルコニー(ベランダ)は専用部分と想いがちですが、実は共用部分です。 大規模修繕では、この共用部分であるバルコニー(ベランダ)も工事の対象となります。そのため、バルコニー(ベランダ)にある室外機の移設が必要になることがあります。そのため、エアコンが使えなくなってしまうのです。 なぜエアコンが使えなくなるのか、どのくらいの期間使えないのか、そしてどうすれば少しでもスムーズに生活できるのか。 この記事では、そんな疑問にお答えしていきます。大規模修繕工事中のエアコン問題について、詳しく見ていきましょう。 マンション大規模修繕時はエアコンが使えない? 結論からお伝えすると、マンションの大規模修繕工事では、一定期間エアコンが使えなくなることがあります。これは主に外壁工事や設備更新作業が原因で、居住者の生活に大きく影響する可能性があります。 もう少し詳しく説明していきます。 エアコンが使えない理由 エアコンが使用できなくなる主な理由は複数あります。 外壁工事の影響 外壁の塗装や補修作業では足場の設置が必要です。この足場がエアコンの室外機と接近し、正常な運転を妨げることがあります。足場が室外機の近くにあると、空気の循環が悪くなり、エアコンの効率が大幅に下がる可能性があります。 塗料や粉塵からの機器保護 外壁塗装時に飛び散る塗料や発生する粉塵は、エアコンの室外機に悪影響を与えかねません。これらが室外機の中に入ると、故障や性能低下の原因になる可能性があります。そのため、工事中は室外機を保護カバーで覆うか、一時的に取り外す必要があります。 バルコニー(ベランダ)工事の実施 防水工事や手すりの交換など、バルコニー(ベランダ)の改修作業では室外機の移動が必要になることがあります。これらの作業中は安全確保と工事の円滑な進行のため、エアコンの使用を控える必要があります。 大規模修繕中の「ベランダの使用制限」に関しては、下記記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。 配管系統の更新作業 大規模修繕では、建物全体の配管系統を新しくすることもあります。この場合、エアコンの冷媒配管も工事の対象となり、工事期間中はエアコンを使用できません。 電気設備の改修工事 建物の電気設備全体を改修する際には、エアコンへの電力供給を一時的に止める可能性があります。これは安全性の確保と新しい電気系統への円滑な移行に必要な措置です。 これらの理由により、大規模修繕工事中にはエアコンの使用が制限されることがあります。工事の規模や内容によって制限期間は異なりますが、居住者の快適性と工事の効率性のバランスを考慮しながら進められます。 移設の具体的な作業内容 エアコンの室外機の移設作業は、専門的な知識と技術を要する重要な工程です。以下に、一般的な移設作業の流れを説明します。 1. 事前調査と計画 技術者が現場を詳細に調査し、最適な移設方法を決定します。この段階で、新しい設置場所や必要な部材、作業時間の見積もりを行います。 2. 電源の遮断と安全確認 作業開始前に、エアコンの電源を完全に切断します。これは作業者の安全確保と機器の保護のために不可欠な手順です。 3. 冷媒の回収 環境保護と機器の保全のため、配管内の冷媒を専用の回収機で回収します。この作業は、フロン排出抑制法に基づいて適切に行われます。 4. 配管の切断と室外機の取り外し 室内機と室外機を接続している配管を適切な位置で切断し、室外機を固定具から慎重に取り外します。この際、周囲の壁面や他の設備に損傷を与えないよう細心の注意を払います。 5. 新設置場所の準備 新しい設置場所を清掃し、必要に応じて補強や防振処理を施します。これにより、再設置後の安定性と静音性を確保します。 6. 室外機の再設置と配管の接続 新しい場所に室外機を設置し、新規または既存の配管を接続します。この際、気密性を確保するため、接続部分の溶接や締め付けを確実に行います。 7. 真空引きと冷媒の充填 配管内の空気や水分を除去するため真空引きを行い、その後適量の冷媒を充填します。冷媒量は機器の性能を左右する重要な要素であり、メーカー指定の量を厳守します。 8. 動作確認とメンテナンス指導 再設置後、エアコンの動作確認を行います。冷房・暖房機能、ドレン排水、異音の有無などを綿密にチェックします。また、必要に応じて居住者にメンテナンス方法を説明します。 これらの作業は通常、1台あたり半日から1日程度を要します。ただし、建物の構造や作業の複雑さによっては、さらに時間がかかる場合もあります。 移設作業は専門的な技術を要するため、必ず資格を持 った専門業者が行う必要があります。適切な移設作業により、工事後のトラブルを未然に防ぐことができます。 エアコンが使えない日数 大規模修繕工事中のエアコン使用制限期間は、工事の規模や内容、建物の状況によって変わります。 短期間の場合、エアコンが使えない期間は2〜3日程度です。これは主に室外機の移動や保護が必要な軽微な外壁工事の場合や、バルコニー(ベランダ)の小規模な補修工事などが該当します。 中程度の場合、使用制限期間は1週間前後となります。外壁の全面塗装や大規模な補修が必要な場合、あるいは複数の設備更新が同時に行われる場合がこれに当たります。 長期間の場合、2週間以上エアコンが使用できないこともあります。建物全体の大規模な改修工事が行われる場合や、配管系統の全面的な更新、電気設備の大規模改修を伴う場合などが該当します。 全体として、大規模修繕工事の全期間中にエアコン使用が完全に禁止されることはないですが、断続的な制限が発生する可能性があります。 具体的な制限日数は、管理組合や施工会社から提供される工事スケジュールで確認しておきましょう。また、天候や工事の進行状況によっても変動するため、定期的な情報確認も大切です。 エアコンが使えないときの対処法 施工者側と居住者側、それぞれの効果的な対処法を見ていきましょう。 施工者側:作業日程の事前告知をする 施工者は工事開始の遅くとも1ヶ月前までに、詳細な作業スケジュールを居住者に通知します。この通知には、エアコンが使用できない具体的な日程と時間帯、各戸別の工事予定日を明記します。工事の進捗状況や天候による変更がある場合は、掲示板やメール、専用アプリなどを活用して速やかに情報を更新します。こうした丁寧な情報提供をしておくと、居住者の不安や不便を軽減し、工事への理解と協力を得やすくなります。 施工者側:期間短縮が可能な無足場工法を活用する マンションの大規模修繕工事では、無足場工法(ゴンドラ工法)という工法があります。 無足場工法では、建物の外壁に沿って作業を行うため、エアコンの室外機周辺のスペースを確保しやすくなります。これにより、室外機の移動や保護が最小限で済み、エアコンの使用制限期間を大幅に短縮できる可能性があります。結果として、居住者の生活への影響も軽減されます。 また、足場の組み立てや解体が不要なため、全体の工期を短縮できます。通常、足場の設置には数日から1週間程度かかりますが、無足場工法ではこの時間を省略できるため、エアコンの使用制限期間も短くなる傾向があります。 さらに、ゴンドラやロープアクセスを使用することで、各階や各住戸ごとに柔軟に作業を進められます。これにより、エアコン使用制限のタイミングを分散させることが可能になります。例えば、夏季の暑い時期には一部の階のみ作業を行い、他の階は涼しい季節に作業するなどの調整ができ、居住者の負担を軽減できます。 オーナー側の対策:エアコンが必要ない季節を選ぶ エアコンを使わなくてもいい季節を選ぶのも一つの対策です。春季(4月〜5月中旬)や秋季(9月下旬〜11月)は気温が穏やかで、エアコンの需要が低い時期です。これらの季節を選ぶことで、エアコンの使用制限の影響を抑えられます。ただし、季節を選ぶ余地がない場合もあるため、可能であれば選択するといいでしょう。 居住者側の対処法: 事前に日程を把握し、外出の予定を立てるのがおすすめ エアコンが使えない期間は数日程度なので、事前に工事スケジュールを確認し、外出の予定を立てることをおすすめします。 外出することで、工事の騒音やプライバシーの問題なども同時に避けられます。 エアコンに関するその他のトラブルと対策 その他にエアコンでは以下の様なトラブルもあります。 室外機の移動と保護について バルコニー(ベランダ)や外壁の工事に伴い、室外機を一時的に移動させる必要があります。この際、配管や電気配線が損傷するリスクがあり、適切に移設されないと冷媒漏れや故障の原因となります。 対策として、専門の技術者による慎重な移設作業が不可欠です。また、移動中は室外機を保護カバーで覆い、衝撃から守ることが重要です。 室外機の汚れや損傷 塗装工事中には、室外機が塗料で汚れることがあります。施工会社に連絡すれば清掃してもらえることが多いですが、早めの対応が求められます。 予防策として、工事前に室外機全体をビニールシートなどで覆っておきます。万が一汚れてしまった場合は、乾く前に湿った布で軽く拭き取ることで被害を最小限に抑えられます。 冷媒系統の不具合 冷媒ガスの漏れや配管接続不良が原因で、冷暖房が効かなくなることがあります。専門業者に相談し、必要に応じて配管を交換することが推奨されます。 まとめ:無足場工法で工事短縮ならゆうき総業へ 大規模修繕工事中のエアコン使用制限は、居住者にとって大きな課題です。 また、室外機の移動や保護、汚れや損傷への対応、冷媒系統の不具合など、エアコンに関する様々なトラブルにも注意が必要です。適切な業者選びの必要性は言うまでもないでしょう。 ゆうき総業株式会社は、6,000件を超える施工実績を持つ大規模改修・修繕工事のプロ集団です。私たちの強みは、無足場工法でコストと工期を大幅カット、そして多能工チームによる高品質施工にあります。 外壁・屋根工事はもちろん、内装・設備工事まで、幅広い工事をトータルでお引き受けしています。 宮城・仙台を拠点に、東北全域から首都圏まで、お客様のご要望をしっかり聞き取り、最適な提案と施工で、建物の見た目と機能性を向上させ、長持ちさせるお手伝いをします。大規模改修・修繕工事でお悩みの際は、ぜひゆうき総業株式会社にご相談ください。  

大規模修繕の周期は12年→18年に延長できる?建物の劣化状況の診断が大切 | 大規模修繕

大規模修繕の周期は12年→18年に延長できる?建物の劣化状況の診断が大切

大規模修繕の実施時期・周期の目安 一般的に12年周期で実施されることが多いですが、これには国土交通省のガイドラインの影響や、特定建築物定期調査における全面打診調査の義務化、塗膜などの劣化を考慮していることなどが理由として挙げられます。 しかし、大規模修繕の実施時期は、マンションの具体的な劣化状況に応じて前後することがあります。 まずは築10年目に行う初回診断で、正確な劣化状態をしっかり把握し、その後、外壁を中心とした修繕から、内部の付属部位も含めた修繕へと範囲が広がっていきます。25〜30年を超えると、建物全域にわたる修繕や設備の更新、耐震補強なども必要になります。 計画的な修繕を行わないと、劣化が進行し修繕費用も増大してしまいます。 まずは、12年を基本周期としつつも、マンションの個別状況に合わせた調整が大切です。 関連記事 築年数ごとの修繕内容の目安 マンションの大規模修繕では、建物の各部位や設備ごとに修繕・更新の時期の目安があります。築年数に応じたメンテナンスポイントと修繕箇所は以下の通りです。 築4~6年 鉄部塗装などの劣化兆候が現れ始めるため、建物点検報告書を確認し、長期修繕計画の見直しを行います。 築7~10年 大規模修繕工事に向けての準備期間です。建物点検報告書を確認し、建物診断の受診をおすすめします。修繕箇所は鉄部、屋根、屋上、給水ポンプ、雨水排水ポンプなどです。 築11~15年 第1回大規模修繕工事(屋上防水・電気設備)、インターホン等の修繕を実施し、長期修繕計画を見直します。修繕箇所は鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段、バルコニー、インターホン、TVアンテナ等、消火栓等、エントランス、集会室等、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽等です。 築16~20年 鉄部塗装・屋上防水、自火報関連、機械式駐車場、給排水ポンプ等の修繕を行います。設備診断の受診をおすすめします。 築21~25年 第2回大規模修繕工事(給水管交換)を実施し、長期修繕計画を見直します。修繕箇所は第1回大規模修繕工事に加え、エレベーター、給水管、雑排水管、給水ポンプ、雨水排水ポンプなどです。 築26~30年 エレベーター交換、インターホンの修繕を行います。 築31~40年 第3回大規模修繕工事(玄関ドア交換、サッシ交換、手摺交換)、排水管更新を実施し、長期修繕計画を見直します。機能・性能・材質面の更新を含む改良工事の検討が必要です。 建物本体では、傾斜屋根、陸屋根・ルーフバルコニー、外壁、雨樋、ベランダ、階段・廊下などの修繕時期の目安は11~15年目となっています。 室内設備では、給湯・バランス釜、エアコン、浴室設備、厨房設備、洗面化粧台、トイレなどの修理の目安が5~10年目、一斉交換の目安が11~15年目となっています。 その他、配管、外部建具、外構、浄化槽、給水設備、エレベーターなどの修繕・更新時期の目安も部位ごとに異なりますので、各劣化状況を定期的にチェックし、適切な時期に修繕・更新を行うことが重要です。 大規模修繕の周期の、建物の種類による違い マンションの大規模修繕の周期は、建物の種類によって異なります。 分譲マンションの場合、修繕委員会などが設置され、ガイドラインに基づいて大規模修繕が実施されます。 一方、商業ビルや賃貸マンションなどの収益ビルの大規模修繕は、オーナーの判断により行われ、具体的な周期を定めたガイドラインはありません。ただし、建物の規模によって1年ごとか3年ごとの定期報告が必要であり、外壁の全面調査も義務付けられています。 収益ビルの大規模修繕の周期 収益ビルの所有者は、適切な補修や修繕を行うことで資産価値を維持し、新技術を導入するリノベーションにより資産価値を向上させる必要があり、これは店舗やオフィスへのリーシングを行う上でも重要な要素となります。 さらに、建物の所有者には管理責任があり、漏水などの事故が発生した場合、店舗への賠償責任が生じる可能性もあるため、安全性の確保は重要です。 収益ビルの大規模修繕の周期は、日常のメンテナンス状況により異なるため、一概に決めることはできません。ただし、建材の平均的な寿命などを参考に、大まかな目安を立てることが重要です。 例えば、屋上防水の耐用年数は、アスファルト防水で15〜25年、シート防水で10〜15年、ウレタン防水で10〜12年となっています。 外壁塗装や屋上防水、エレベーターや給排水管の交換といった様々な箇所の修繕や改修のタイミングや費用を、あらかじめ長期修繕計画として立てておくことが重要です。 この計画をもとに、実際の建物調査により具体的な計画立案を行い、5年程度ごとに見直しを行うことが推奨されます。長期修繕計画を立て、修繕に必要な資金の目安を作り、修繕積立金の額を想定することで、利益の確認もできるようになります。 大規模修繕のタイミングは建物の状況によって異なる 同じ築年数や戸数であっても、建物の形状、構造、環境、管理状況などの要因により、劣化の進行や故障の発生は建物ごとに異なるため、一律に周期や回数を決めることはできません。 大規模修繕の実施については、各管理組合が建物の状況を見極めて判断することが多いです。 一般的な目安としては12~15年程度とされており、大規模修繕工事のタイミングは、長期修繕計画に記載されています。 近年、大規模修繕の周期を延ばす動きも出てきましたが、実施時期は建物の状況に大きく依存します。適切な時期を判断するために、まず建物診断を行い、現状を確認することが重要です。 多くのマンションでは、築10年を超えた頃から情報収集や修繕委員会の立ち上げ、建物診断の実施など、少しずつ準備を始めます。 大規模修繕工事の準備には通常1~2年程度かかるため、工事時期を延ばす場合はさらに検討時間が必要になります。 大規模修繕工事は資金計画とも直結しているため、長期修繕計画は5年ごとに見直し、現状を反映させることが重要です。 大規模修繕の前に建物診断、全面打診調査を実施する マンションの大規模修繕を行う前には、建物の状態を正確に把握するために、建物診断と全面打診調査を実施することが重要です。 建築基準法では、建築物の所有者、管理者、占有者は、建物を常に適法な状態に維持するよう努めなければならないと定められています。 特に、平成20年4月の建築基準法改正により、タイル貼りやモルタル仕上げのマンションは、竣工や改修から10年を経過した場合、3年以内に外壁の全面打診調査を実施することが義務付けられました。 この調査は、外壁のタイル落下事故を防止することを目的としています。 全面打診調査には足場が必要であり、コストがかかるため、大規模修繕工事と同時に全面打診調査を行うのが効率的です。 これが、12年ごとに大規模修繕工事を実施するという考え方が一般的になった理由の一つです。 5~15年ごとの建物診断で修繕の実施時期や修繕範囲を決める 建物診断は、日常点検や定期点検とは別に、概ね5~15年ごとに行われ、長期修繕計画に記載された全ての項目を対象とします。 診断方法には、目視、打診、触診、機械による計測調査などがあり、詳細な調査が行われます。 建物診断の結果は、大規模修繕の実施時期や修繕範囲、修繕仕様を決める根拠となり、おおまかな修繕費用の概算も算出できます。建物診断には無料診断と有料診断の2種類があります。 無料診断は簡易な目視や触診、打診などを行い、一定の劣化や不具合を確認する診断で、一方、有料診断は、目視や触診、打診に加え、機械調査まで行う場合が多く、費用は建物の大きさや形状により数十万円から数百万円程度かかります。 複数の工事会社や調査会社による建物診断や工事見積を受けることで、多様な視点からの診断を受けることができ、見落としリスクの軽減につながります。 大規模修繕は数を重ねるごとに内容や改修箇所が変わる 最初の大規模修繕工事が築後12年頃に行われるとすると、2回目は築後24年頃に実施されますが、2回目以降の工事は、建物の劣化度合いが1回目とは異なるため、改修内容も変わってきます。 1回目の大規模修繕は主に建物の外部を中心に行われますが、2回目では建物内部の付属的な部位やパーツの改修も含まれるようになり、3回目になると、建物内部の主要な設備や部材の更新に加え、耐震補強工事や省エネ化工事といった時代に合わせた工事も求められることがあります。 回を重ねるごとにコストが増大していくことは避けられないため、修繕費用の確保を適切に想定しておく必要があります。 また、新築時には最先端の機能・性能を有していた建物でも、築年数が経てば陳腐化してしまうことがよくあります。居住者のニーズに応じて、大規模修繕と合わせてリフォーム、リニューアル、リノベーションといったグレードアップの工事を実施することも必要となります。 大規模修繕の目的が「維持」から「機能復旧・アップグレート」へ変わっていく 1回目の大規模修繕では建物の維持・保全が主な目的ですが、2回目は機能復旧、3回目では機能復旧に加えてグレードアップが目的となります。 大規模修繕工事は、仮設工事、下地補修工事、タイル補修工事、シーリング工事、外壁塗装工事、鉄部塗装工事、防水工事など、複数のステップに分けて行われますが、2回目以降の工事では、建物の劣化具合に応じてより多くのステップで、踏み込んだ工事が必要となり工事期間も長く、費用も高くなる傾向にあります。 3回目以降になると、排水管やサッシ、電気設備などの工事やバリアフリー設備の増設なども考慮する必要があり、さらなる費用の増加が予想されます。 マンションの大規模修繕工事は、25~30年の長期的スパンで考えるべきものであり、12年周期をひとつの目安として、工事と費用を確保するためのロードマップを作成しておくことが重要です。

マンション大規模修繕でベランダが使えない?日数やトラブル防止の注意点を解説 | 大規模修繕

マンション大規模修繕でベランダが使えない?日数やトラブル防止の注意点を解説

大規模修繕工事の範囲はエレベーターや廊下などの誰でも使える共用部以外にも「ベランダ」も含まれ、工事中は施工会社の立ち入りが可能となります。 とはいえ、日頃は「自分たちの専用部分」として使用しているため、突然使えなくなることで日常生活に大きな影響があるでしょう。 また、これらの対応に関しては、業者側ではなく居住者側が対応しなくてはいけないのもポイントです。 では、ベランダはどれほど使えなくなるのか?マンションの居住者は、いったい何をしなくてはいけないのか? 本記事では、大規模修繕工事におけるベランダの使用制限とその期間、知っておきたい注意点などを詳しく解説していきます。 これを読めば、「知らなかった」というトラブルも防げるでしょう。 マンション大規模修繕時はベランダが使えない? 結論から言うと、大規模修繕工事期間中は、ベランダの使用に関して様々な制限が設けられます。主な制限として、ベランダへの立ち入りが禁止され、洗濯物を干すことができなくなります。また、ベランダに置いてある私物をすべて片付ける必要もあります。 まずは、ベランダが使えない理由、具体的な作業内容、そして使用制限の期間について詳しく見ていきましょう。 ベランダが使えない理由 まず重要なのは、マンションのバルコニー(ベランダ)が実は共用部分であるという点です。日常の生活では各住戸が自由に使えますが、法的には建物全体の一部として扱われます。そのため、ベランダも大規模修繕工事の対象となるのです。 ベランダが使えなくなる理由は、主に二つあります。足場の設置と安全確保、そして塗装や防水工事の影響です。 まず一つ目は、足場の設置と安全確保です。工事の事故を防ぐため、ベランダに足場を組み立てて、居住者の立ち入りを制限します。 二つ目は、塗装や防水工事の影響です。塗料や防水材を塗って乾かす間は、どうしてもベランダが使えなくなります。 具体的な工事内容 大規模修繕時のベランダ工事では、主に以下の作業が行われます。 防水工事 ベランダの床面に新たな防水層を形成します。ウレタン塗膜、シート防水、FRP防水などの工法が用いられ、状況に応じて最適な方法が選択されます。既存の防水層を撤去し、下地処理を行った後、新しい防水材を施工します。 塗装工事 外壁や手すりの塗り替えを行います。油性塗料、水性塗料、シリコン塗料など、素材や環境に適した塗料を使用します。下地処理、プライマー塗布、上塗りの順で作業が進められ、天候や気温を考慮しながら進めていきます。 鉄部補修工事 手すりやサッシなどの金属部分を補修します。錆びた箇所をワイヤーブラシや電動工具で除去し、防錆剤を塗布します。その後、下塗り、中塗り、上塗りの順で塗装を行います。劣化が著しい場合は、部材の交換も検討されます。 排水管清掃・補修工事 ベランダの排水管を清掃し、必要に応じて補修します。高圧洗浄機を使用して配管内部の汚れや詰まりを除去します。亀裂や破損が見つかった場合は、部分的な補修や配管の交換を行います。排水勾配の調整も必要に応じて実施されます。 ベランダが使えない日数 ベランダが使えない期間は、マンションの規模や工事の内容によって異なります。一般的には2〜4週間程度とされていますが、これはあくまで目安です。 実際の期間は、天候や予期せぬ事態により変動する可能性があります。長雨で工事が遅れたり、予想外の補修箇所が見つかったりすることもあるでしょう。 ただし、工事期間中ずっとベランダが使えないわけではありません。工事の進み具合に応じて、少しずつ使用できる範囲が広がっていきます。例えば、塗装が終わった後の乾燥期間中には、「洗濯物を干すだけなら大丈夫」といった具合に、部分的に使用できるようになることもあります。 トラブル防止!事前に知っておきたい注意点 ベランダが使えない理由や期間について説明しましたが、トラブルを防ぐため、事前に知っておきたい注意点もご説明します。 ベランダの大規模修繕は居住者の同意が不要 先ほどお話した通り、バルコニー(ベランダ)は共用部分に該当するため、大規模修繕の対象となります。それぞれの居住者の意向に関わらず、修繕工事が実施されることを理解しておく必要があります。安全性や建物の維持管理の観点から、「うちのベランダは大丈夫です」と断ることはできないんですね。 私物の移動や処分は居住者の自己負担 工事に先立ち、バルコニーに置かれている私物の移動や処分が必要となります。この作業にかかる費用は、原則として各居住者の自己負担となります。大型の家具や植木鉢、エアコンの室外機など、移動に専門業者が必要な場合も、その費用は居住者が負担することになります。 これらの点を事前に知っておくことで、こんなはずじゃなかったというトラブルを抑えることができます。 ベランダの使用制限への対策と準備すべきこと ここからは、スムーズに工事を進めるためのポイントをご紹介します。 工事スケジュールを把握し、計画的な片づけを ベランダ工事の具体的な日程を確認し、片づけに必要な期間を見積もっておくことで、慌てずに対応できます。一般的に、工事開始の1〜2ヶ月前から準備を始めるのが良いでしょう。特に、大型の植木鉢や家具など、移動に時間がかかるものがある場合は、余裕を持って計画を立てましょう。 休日を利用して少しずつ片づけを進めるなど、自分なりの方法を見つけてみてください。 ベランダの整理と片付け 工事の妨げとなる物品を撤去します。エアコンの室外機、物干し竿、プランターなど、普段ベランダに置いているものを室内や指定の場所に移動させましょう。特に大型の植木鉢や重い家具は、早めに移動しておくと安心です。 室外機の移設とエアコンの使用制限 エアコンの室外機は、大規模修繕の際には一時的に移動が必要になることがあります。この作業は専門業者が行いますので、居住者の方が直接手を加える必要はないのでご安心ください。 ただし、スムーズに作業を進めるために、室外機の上や周りに物を置いている場合は、事前に片付けることをおすすめします。室外機の周囲にはある程度のスペースを確保しておくと、作業員の方が安全に仕事を行えます。 また、移設に伴ってエアコンの使用に制限がある場合は、事前に工事スケジュールを確認し、外出の予定を立てることをおすすめします。 洗濯物の干し場所の確保 工事期間中は外干しが制限されます。洗濯物は室内干しで対応し、難しいようであれば、コインランドリーを活用するなど、事前に検討しておきましょう。 困ったら施工業者と積極的に「コミュニケーション」を取ろう 疑問点や要望があれば、遠慮なく伝えましょう。例えば、バルコニー内の備品の片付けや移動に困った場合、施工業者のスタッフがお手伝いしてくれることもあります。 また、不用品の処分に対応してくれる場合もあるので、積極的に相談してみるのも良いでしょう。施工業者も、コミュニケーションをとってもらった方が助かるので、あまり気を遣わず相談してみましょう! ベランダに関するその他のよくある質問 Q1: ベランダの手すりや床に取り付けた私物はどうすればいいですか? A: 工事の妨げになるため、一時的に取り外す必要があります。工事業者の指示に従い、適切に保管しましょう。工事後の再設置方法も確認しておくとよいでしょう。 Q2: ウッドデッキ・タイルはそのままでも大丈夫? A: 基本的に撤去が必要です。工事業者の指示に従い対応しましょう。将来の修繕を考え、着脱が容易なタイプの選択をおすすめします。 Q3: ペットのケージや小屋はどうすればいいですか? A: 室内に移動させるのが基本です。難しい場合は、一時的にペットホテルの利用も検討する必要があるでしょう。 Q4: ベランダの照明器具や防犯カメラはどうなりますか? A: 工事の邪魔になる場合は一時的に取り外します。工事業者と相談しましょう。工事後の再設置方法も確認しておくとよいでしょう。 Q5: 工事中にベランダを使用する必要がある場合(例:避難時)はどうすればいいですか? A: 管理組合や工事業者と事前に対応を確認しておきましょう。緊急時の避難経路や連絡方法を把握し、マンション住民全員で共有することが重要です。 まとめ:マンション大規模修繕中のベランダ対策は計画的に! 大規模修繕工事中は、ベランダの使用制限など一時的な不便は避けられないため、事前に準備しておくことが大切です。またそのためには、施工業者からの丁寧な説明や対応も不可欠です。 当社では、施工主や施工業者との強い連携が強みの一つです。 どのような安全確保をおこない、どこまでの工程で、何を保証するのかを事前にしっかり取り決めます。施工主および施工業者と連携しつつ、居住者・利用者の不便にならないよう最大限配慮しながら工事を進めます。 大規模修繕をより円滑に進めるためのアドバイスが必要な方は、ぜひ当社までご相談ください。豊富な実績とご提案で、サポートさせていただきます。 ゆうき総業が選ばれ続ける理由とは?

修繕と改修の違いとは?修理・補修・修復・改良との違いも解説 | 大規模修繕

修繕と改修の違いとは?修理・補修・修復・改良との違いも解説

修繕と改修の違いとは?違いを一覧表で解説 修繕は劣化した建物を元の状態に戻す事であるのに対して、改修は建物をよりアップグレードさせる事である。といった違いがあります。 用語 定義 具体例 修繕 (しゅうぜん) 建物や設備が劣化した際、元の状態またはそれに近い状態へ回復させる工事。 外壁塗装、防水工事 改修 (かいしゅう) 建物の性能や機能をグレードアップさせる工事。 耐震補強、バリアフリー化 補修 (ほしゅう) 即座に必要な部分のみを対応する応急的な措置。 外壁のシーリング打ち替え 修理 (しゅうり) 故障や破損した具体的な部分を直す作業。 機械や家具の破損部分の修正 修復 (しゅうふく) 壊れたり損傷したりしたものを元の状態に戻す作業。 歴史的建造物や芸術作品の復元 改良 (かいりょう) 建物の性能や機能を建設当初の設計を超えて向上させる。 エネルギー効率の改善、最新技術の導入 改修とは 改修は、建物の性能や機能を向上させるために行う工事で、劣化した部分の修繕と同時に、設備やデザインのアップグレードを行います。 改修工事の具体例としては、以下のようなものがあります 断熱性能の向上:古い窓を二重サッシやペアガラスに交換し、外壁に断熱材を追加することで、エネルギー効率を高める。 バリアフリー化:段差の解消、手すりの設置、ドアの幅の拡張などを行い、高齢者や障がい者にとって住みやすい環境を整える。 設備の更新:老朽化した給排水管や電気配線を新しいものに交換し、同時に節水型トイレや省エネ照明などを導入する。 改修工事では、単に古くなった部分を直すだけでなく、現代のニーズに合わせて建物の価値を高めることが重要です 修繕とは 修繕は、建物を建築当初の状態に戻すことを目的とした工事で、経年劣化により損傷した部分を修理または交換します。 修繕工事の具体例には以下のようなものがあります 屋上防水の張り替え:防水シートの劣化により雨漏りが発生している場合、防水層を全面的に張り替える。 外壁の塗装:塗装の剥がれやひび割れが見られる外壁を、下地の補修を行ってから再塗装する。 設備の部分交換:エレベーターのワイヤーロープの交換や、ボイラーの一部部品の交換など、設備の一部を取り替える。 修繕工事では、できる限り当初と同じ、または同等の材料を使用し、建物の性能を維持することが重要です。 修理とは 修理は、故障や損傷した部分を直して、元の状態に戻すことを指します。建物以外にも、家電製品や車、家具などの修理が一般的です。 修理の具体例としては、以下のようなものがあります 家電製品の修理:洗濯機の故障した部品を交換して、正常に動作するようにする。 車の修理:事故で損傷したボディを元の形に戻し、塗装を施す。 家具の修理:ゆがみや割れが生じた木製の椅子を、補強や接着剤で直す。 修理では、損傷した部分を元通りに直すことが目的で、必ずしも性能や機能の向上は求められません。 補修とは 補修は、劣化や損傷した部分を部分的に直す工事で、建物の機能を維持することを目的とした応急的な処置として行われることが多いです。 補修工事の具体例には以下のようなものがあります: タイルの補修:浴室や台所の壁面で剥がれたタイルを、部分的に張り替える。 配管の補修:水漏れが発生している箇所の配管を一部切り取り、新しい部品を接続する。 床の補修:フローリングの一部が膨らんでいる場合、その部分を切り取って新しい材料を貼り付ける。 補修工事は、部分的な修理に焦点を当てているため、建物全体の修繕と比べると小規模で、費用も抑えられます。 修復とは 修復は、損傷や劣化した部分を元の状態に戻すことを指し、美術品や歴史的建造物などに使われることが多い言葉です。 修復の具体例としては、以下のようなものがあります 絵画の修復:経年劣化で損傷した絵画を、専門家が細部まで元の状態に戻す。 彫刻の修復:戦争や自然災害で壊れた彫刻を、残された部分を元に復元する。 歴史的建造物の修復:城郭や寺院などの歴史的価値のある建物を、当時の技法や材料を用いて本来の姿に戻す。 修復では、専門的な知識と技術が必要とされ、できる限り元の状態に近づけることが重要視されます。 改良とは 改良は、既存の物を良くすることを目的とした行為や工事で、建物に関しては、設備や機能を向上させることで居住性や利便性を高めることを指します。改良工事の具体例には以下のようなものがあります: エレベーターの改良:従来のエレベーターをより速く、静かで、省エネルギーなものに取り替える。 セキュリティシステムの導入:オートロックやカメラ監視システムを導入し、住民の安全性を高める。 給湯システムの改良:ガス給湯器からヒートポンプ式給湯器に切り替え、エネルギー効率を上げる。 改良工事は、改修工事の中でも特に性能や機能の向上に重点を置いたものと言えます。 関連記事

【知っておきたい】マンション大規模修繕のゴミトラブルと6つの防止策 | 大規模修繕

【知っておきたい】マンション大規模修繕のゴミトラブルと6つの防止策

マンションの大規模修繕工事といえば、騒音や振動、工期の長期化が気になりますよね。でも、意外と見落とされがちな問題があります。それが「ゴミトラブル」です。 大規模修繕工事中は、普段とは違うゴミの問題が出てくることがあります。例えば、工事で出る特殊な廃棄物の処理や、工事に伴う騒音・臭い、さらにはゴミが飛び散ってしまうことなど、様々な問題が起こる可能性があります。 これらのゴミに関連したトラブルは、工事がスムーズに進まなくなるだけでなく、近所の方との関係が悪くなったり、法律違反になってしまうリスクまであります。しかし、きちんと対策を立てれば、こういった問題は十分に避けられます。 この記事では、大規模修繕工事中によく起こるゴミトラブルの種類や、その予防策、さらにトラブルが起きてしまった時の対処法について、詳しく解説していきます。 大規模修繕では大量の「ゴミ」が出る! 大規模修繕工事は、10〜15年に一度行われる大がかりな工事であり、その規模と期間の長さから、通常の建物維持管理と比べて廃棄物の量も増加します。 具体的には、建物の老朽化した部分を新しい材料に交換するために出た古い建材や、工事過程で様々な種類の廃棄物が生じます。例えば、塗料缶、養生材、コンクリート片、金属くず、木くずなどが挙げられます。 また、建設工事から出るゴミは産業廃棄物として扱われ、一般ゴミとは異なる処理方法が必要となります。そのため、適切な廃棄物管理と処理が工事において重要な側面となります。 知っておくべきゴミ処理に関するトラブルは? ここからは大規模修繕時によくある「ゴミ処理トラブル」について詳しく解説していきます。 ケース①:「産業廃棄物」の分別・処理不足によるトラブル 大規模修繕工事では多種多様な廃棄物が大量に発生します。これらは産業廃棄物として扱われるため、一般ゴミとは異なる処理方法が必要です。しかし、現場では分別が不徹底になりがちで、トラブルの原因となることがあります。 具体的には、塗料缶や接着剤の容器、古い建材などが混在した状態で排出されるケースが見られます。特に注意が必要なのは、塗料缶や接着剤の容器に内容物が残っている場合です。これらは有害物質を含む特別管理産業廃棄物として扱う必要がありますが、一般の産業廃棄物と一緒に処理されてしまうことがあります。 また、無許可業者への委託や不法投棄といった深刻な問題も起こり得ます。 これらは法律違反となる可能性が高いため、元請業者が責任を持って適切な処理業者を選定し、廃棄物の分別や処理過程を厳密に管理することが重要です。 また、マンション管理組合や住民の皆様も、適切な処理が行われているを確認し、疑問点があれば、遠慮なく工事業者や管理組合に確認を取ることをお勧めします。 適切な産業廃棄物の管理は、単なる法令遵守にとどまらず、環境保護や企業の社会的責任を果たすことにもつながります。 ケース②:一時的なゴミ置き場の確保不足によるトラブル 理想的には、工事現場から直接廃棄物処理施設へ運ぶことが望ましいのですが、やむを得ず一時的な保管が必要になることもあります。その際、保管場所の確保が課題となります。特に雨天時には廃棄物が濡れないよう、適切な保管場所を設ける必要があります。 また、野ざらしで置かれた廃棄物から錆や塗料が流れ出し、周辺を汚染する可能性もあります。さらに、保管が長期化すると不法投棄とみなされるリスクもあるため、保管期間の管理も重要です。 これらの問題を防ぐには、保管基準を遵守し、囲いや掲示板の設置など、適切な管理を徹底することが求められます。 ケース③:騒音・臭気による近隣トラブル 大規模修繕工事中、騒音や臭気が近隣とのトラブルのもとになることがあります。 騒音は主に廃材の処理や運搬作業から発生します。重機の使用や資材の移動、作業員の声が予想以上に大きな音を出すことも。特に早朝や夜間の作業は、近隣の方々の生活に直接影響を与えやすいです。 臭気の問題は主に塗料や接着剤の使用が原因です。これらの化学物質の強い匂いは風に乗って広がり、長時間不快感を与えることも。特に暑い季節や風の弱い日は臭いがこもりやすくなります。 こうした問題は近隣からの苦情につながり、最悪の場合、工事の中断や計画変更を余儀なくされることも。工期の遅れや追加費用が発生する可能性もあります。 マンションの住民にとっても、騒音や臭気は大きなストレスです。長期の工事で快適な生活が損なわれると、管理組合や工事業者への不満が高まるかもしれません。 このように、騒音や臭気の問題は工事の進行だけでなく、マンション全体の雰囲気にも影響します。適切な対策を取らないと、長期的な信頼関係を築くのが難しくなる可能性があります。 ケース④:ゴミの飛散によるトラブル 軽量な廃材やゴミが風に乗って飛散することが発生することがあります。 飛散したゴミは、周辺の敷地や公共スペースに落ちることで、住民や近隣の方々が普段以上に掃除をしなければならなくなり、不満の原因となることがあります。 また、駐車中の車両にゴミが付着すると、塗装を傷つける恐れもあります。これは、特に新車や大切に手入れされている車両の所有者にとっては深刻な問題です。 周囲の環境への影響も気になるところです。飛散したゴミが植栽や水路に入り込むと、マンション周辺の景観を損ねたり、小さな環境問題を引き起こしたりします。マンションの近くに緑地や水辺がある場合は、特に注意が必要です。 このようなゴミの飛散は、工事現場の管理が行き届いていない場合や、急な強風が吹いた時に起こりやすくなります。天候の変化への対策不足や、作業員の注意不足が原因になることもあります。 その他、大規模修繕工事で起こりうる「近隣トラブル」については、下記記事で紹介していますので、あわせてご覧ください! ゴミのトラブルを予防する方法は? ここからは先ほど挙げたトラブルを回避するために、業者やマンションオーナーの皆様がやるべき予防法について詳しく解説します! 産業廃棄物の適切な分別と処理を徹底する 現場での徹底した分別を実施し、作業員への教育を行うことが重要です。特に、塗料缶や接着剤の残留物などの特別管理産業廃棄物には細心の注意を払いましょう。 具体的な対策として、工事現場に複数の分別用コンテナを設置し、廃棄物の種類ごとに分けることが効果的です。例えば、「木くず」「金属くず」「廃プラスチック類」「がれき類」などのカテゴリーごとにコンテナを用意し、明確な表示を行います。これにより、作業員が迷うことなく適切に分別できる環境を整えることができます。 一時的なゴミ置き場を適切に設置・管理する ゴミ置き場を設ける場合は、法令に基づいた保管基準を守ることが重要です。具体的には、囲いや掲示板の設置が必要です。加えて、雨対策として防水シートの使用や屋根付き保管場所の確保も欠かせません。 さらに、廃棄物の種類ごとに保管場所を分け、混ぜないようにすることが大切です。そして、定期的な清掃と点検を行い、周辺環境への影響を抑えましょう。最後に、保管期間をしっかり管理し、できるだけ早く処理施設へ運び出す計画を立てることが重要です。 騒音・臭気対策を実施し、近隣への配慮を忘れない 騒音や臭いによる近隣トラブルを防ぐには、まず作業時間の制限が効果的です。加えて、低騒音・低振動型の機械を使用しましょう。特に早朝や夜間の作業は控えめにし、必要に応じて防音シートを設置するのも良い方法です。 臭気対策としては、低臭気型の塗料や接着剤を選び、使用時は換気をしっかり行います。また、作業員には不必要な騒音を出さないよう指導することも大切です。このような近隣への配慮が、スムーズな工事につながります。 ゴミの飛散防止に努める ゴミの飛散を防ぐ第一歩として、工事現場の周りに防護ネットやシートを設置しましょう。次に、廃材やゴミの保管場所をしっかり管理し、蓋付きのコンテナを使用するのも効果的です。 さらに、天候にも注意を払い、強風が予想される日は飛散しやすい作業を避けるなど、柔軟な作業計画を立てることが重要です。加えて、定期的に周辺の清掃を行い、万が一飛んでしまったゴミはすぐに回収することを心がけましょう。 住民とのコミュニケーションを強化する 住民トラブルで一番問題となるのが、「そもそも話をしていない・聞いていない」というクレームです。 大規模修繕工事を成功させる第一歩は、関係者全員の理解と協力を得ることです。そのためには、マンション住民はもちろん、近隣住民への丁寧な説明が欠かせません。 工事説明会の開催や詳細な資料の配布、定期的な進捗報告など、細やかなコミュニケーションを心がけましょう。また、苦情窓口を設置し、問題が生じた際に迅速に対応できる体制を整えることも重要です。 このような丁寧なコミュニケーションが、トラブルの防止につながります。 信頼できる業者を選定する 業者の実績、資格、評判を十分に調査し、特に産業廃棄物処理の許可を持つ業者を選びましょう。 見積もりの内容を細かくチェックし、ゴミ処理の計画が適切か確認します。複数の業者を比較検討するのも良い方法です。選んだ業者とはマニフェスト管理を徹底し、定期的に処理状況を確認しましょう。信頼できる業者との協力で、適正な廃棄物処理が実現し、トラブルのリスクを減らせます。 これらの対策を総合的に行うことで、ゴミ処理トラブルのリスクを大きく減らせます。同時に、環境への配慮や地域との良好な関係づくりにもつながり、結果としてスムーズな工事進行が期待できます。 まとめ:すべては、マンションにお住まいの住民の皆様の安心・安全のため! 本記事でも紹介した通り、マンションの修繕は避けて通れないものですが、「お住まいの住民の皆様が安心・安全に暮らせるか?」が第一に考えるべき点です。 特にゴミや騒音は、「住民トラブルに繋がる+法的罰則に繋がりやすい」部分ですので、まずは施工業者やマンションオーナー様から住民の理解を得ておくことがマストなのです。 当社はこれまで【6,000件】以上の施行実績をもとに、お客様とのトラブルを極力減らす配慮のもと、マンションの大規模修繕を行っています。 外壁・屋根工事はもちろん、内装・設備工事まで、幅広い工事をトータルでお引き受けしています。 宮城・仙台を拠点に、東北全域から首都圏まで事業を広げてきました。お客様のご要望をしっかり聞き取り、最適な提案と施工で、建物の見た目と機能性を向上させ、長持ちさせるお手伝いをします。 大規模改修・修繕工事でお悩みの際は、ぜひゆうき総業株式会社にご相談ください。 >無料相談はこちらから!

建設現場の足場の種類は何がある?足場の費用相場や注意点を解説 | 大規模修繕

建設現場の足場の種類は何がある?足場の費用相場や注意点を解説

足場の種類と特徴 くさび式足場(ビケ足場) くさび式足場は、鋼管を支柱として一定間隔で立て、水平材や斜材をくさび状の金具で固定する足場です。低層から中層の建物に適しており、組み立てや解体が比較的容易で、複雑な形状の建物にも対応できるのが特徴です。また、コストパフォーマンスにも優れています。ただし、設置にはある程度のスペースが必要となります。 枠組み足場 枠組み足場は、溶接された鉄製の建枠を主要部材とし、ジャッキやジョイント、筋交いなどの部材を組み合わせて構成される、最も一般的な足場です。軽量で高強度、組み立て・解体も比較的簡単という利点があります。また、ハンマーを使わないため騒音が少ないのも特徴です。15階建て程度までの高層建築物にも使用可能ですが、大掛かりな足場となるため設置スペースや搬入路の確保が必要です。 単管足場 単管足場は、直径48.6mmの鋼管をクランプで接続して組み立てる足場で、歴史が最も古いタイプです。形状の自由度が高く、狭い場所でも設置できるのが利点ですが、組み立てと解体に時間がかかります。また、作業床がないため安全面では注意が必要です。最近はDIYでも使われることがありますが、高所作業には適していません。 吊り足場 吊り足場は、建物の上部から作業床を吊り下げて設置する特殊な足場です。橋梁やプラントなど、地上から組み上げるのが難しい場所で使用されます。ただし、落下のリスクが高いため慎重な施工が求められ、足場の組立て等作業主任者の配置が必要となります。 移動式足場(ローリングタワー) 移動式足場は、下部にキャスターが付いており移動可能な足場です。組み立てた後に移動させられるため、効率的な作業が可能で、高さ調整もできるため天井や壁の仕上げ工事に適しています。ただし、作業中の移動は危険なため、ブレーキの使用など注意が必要です。 各足場には一長一短があるため、現場の状況に合わせて適切な足場を選定することが重要です。また、安全性を最優先に、正しい手順で組み立て・使用することが求められます。近年は、従来の規格を見直した次世代足場も登場しており、作業性と安全性のさらなる向上が期待されています。 次世代足場 次世代足場は、従来の足場の規格を安全面、施工面、管理面から見直し、改善を加えた新しいタイプの足場です。現代の作業者の身長増加に対応し、より広く作業しやすい空間を確保しています。また、安全性の強化として、部材の抜け防止機能を向上させています。 次世代足場は、くさび式足場と比較して大幅な軽量化を実現しており、作業員の負担軽減と作業効率の改善が期待できます。枠組み足場やくさび式足場と比べても優れた性能を持ち、今後の主流になる可能性が高い足場です。 単管ブラケット足場 単管足場にブラケットと床板を取り付けて安全性と作業性を高めた足場です。単管足場よりも安定性があり、狭い場所や低層の建物の工事に適しています。ただし、ブラケットを一つずつ取り付けるため、設置・解体に時間がかかります。 脚立足場 脚立を支柱として使用し、その間に足場板を渡して作られる簡易的な足場です。主に屋内の壁や天井の小規模な作業で使用されます。組み立てが容易で、DIYでもよく利用されています。   足場の部位ごとの名前 主要な足場の種類である枠組み足場、単管足場、そして全ての足場に共通する部材の名称と特徴を紹介します。 枠組み足場の主要部材 脚部(ベース金物):ジャッキベース 足場の最下部に使用され、地面の凹凸を調整して足場全体の水平を保つ役割を果たします。また、足場の重量を広範囲に分散させ、地面への圧力を均等にすることで、柔らかい地面や沈下の恐れがある場所での使用に適しています。 支柱(建地材):建枠(たてわく) 鳥居型建枠と梯子型建枠があります。あらかじめ組み立てられた枠を現場に運び、組み立てることで時間の短縮と効率化が図れますが、形状が固定されているため、現場の条件によっては適応が難しい場合もあります。 布材:下桟(げざん) 足場の水平方向の安定性を確保し、作業員や資材の重量を支持して地面へと伝達する役割を果たします。これにより、足場の安全性が確保されます。 筋交い(ブレス材) 足場の横方向の動きを抑制し、風圧や作業中の荷重による揺れを防ぐことで、足場の倒壊リスクを軽減します。また、三角形の構造を形成することで足場の強度を向上させ、作業中の安全性を高めます。 作業床材:アンチ 枠組み足場でもアンチが使用されます。滑りにくい特性を持つアンチは、作業員の安全を確保するために重要な役割を果たします。 単管足場の主要部材 脚部(ベース金物):固定ベース 足場の最下部に配置され、支柱が直接地面に接触することを防ぎ、足場全体の安定性を保ちます。また、広い面積を持つことで、荷重を分散させ、地面の沈下による足場の傾きを防ぎます。 支柱・布材・筋交い:単管パイプ 足場の基本構造を形成し、荷重を地面に伝達する役割を果たします。また、単管パイプを使って足場の床を作り、水平方向と斜め方向の安定性を確保します。筋交いとして使用される単管パイプは、風圧や重荷に対する足場の安定性を高めます。 作業床材:足場板 強度と耐久性を持ち、作業員の重量や資材の重量に耐えられるように設計されています。単管パイプに簡単に取り付けられ、位置の調整も容易であるため、作業床の面積を柔軟に変更できます。 全ての足場に共通する部材 クランプ 足場のパイプ同士を固定するための部品で、ネジを締めることでパイプ同士をしっかりと固定し、足場の安定性を保ちます。 ジョイント 異なる部分や角度のパイプをつなげるための部品で、足場の形状を自由に組み立てることができます。 昇降階段 足場の異なる高さの階層間を移動するための階段で、作業員の安全な上下移動を可能にします。 ブラケット 足場の外側に取り付けて作業スペースを拡張する部分で、作業員がより広いエリアで作業できるようにします。 壁つなぎ 足場を建物の壁に固定するための部品で、足場の安定性を高め、作業員の安全を確保します。 ネット・シート 足場の周りに取り付けて落下物を防止したり、風雨から保護したりするために使用され、作業の安全性と快適性を向上させます。 足場の設置費用の相場 足場の組み立て・解体・運搬にかかる費用は、一般的に1㎡あたり600~1,000円程度が相場となっています。例えば、30坪程度の一般的な家の外壁を全面的に施工する場合、足場費用だけで15万円前後が必要になります。 足場費用の計算方法 ご自宅の足場にかかる概算費用は、建物の外周から計算することができます。まず、以下の計算式で「足場架面積」を求めます。 足場架面積 = (建物の外周(m) + 8m) × 家の高さ(m) 家の高さの目安は、1階建て=3.5m、2階建て=6m、3階建て=8.5mです。 次に、求めた足場架面積から足場設置費用を計算します。 足場にかかる費用 = 足場架面積 × 平米単価 (600~1,000円) 例えば、外周20メートルの2階建ての家に、平米単価1,000円で足場を組む場合、(外周20m + 8m) × 家の高さ6m ×平米単価1,000円 = 168,000円 となります。   ただし、傾斜地や狭い路地での工事、隣接建物が近接している場合、ガードマンを依頼する必要がある場合などは、さらなるコストが発生する可能性があります。 「足場代無料」は要注意 一部の業者が「足場代無料」をうたっていることがありますが、実際には足場費用を他の施工費に上乗せしている可能性が高いです。 足場の設置には、部材の運搬費、施工・解体費、人件費など、全施工費の約20%を占める費用が発生するため、無料で提供することは業者にとって損失となり、「足場代無料」をうたう業者の提示する見積もりには注意が必要です。 足場費用は、外壁・屋根リフォームを行う上で必要不可欠な経費であることを理解し、適正な価格で依頼することが重要です。 足場の施工をする時の注意点 足場の施工は、高所での作業を伴うため、安全性を最優先に考える必要があります。 悪天候時や自然災害発生時は作業を中止 足場での作業は屋外で行われるため、悪天候や自然災害が発生した場合、作業を中止しなければなりません。労働安全衛生規則では、高さ2m以上の足場での作業を中止するケースを以下のように定めています。 強風:10分間の平均風速が毎秒10メートル以上 大雨:1回の降雨量が50ミリメートル以上 大雪:1回の降雪量が25センチメートル以上 中震以上の地震:震度階数4以上 暴風:瞬間風速が毎秒30メートルを超える風 また、悪天候や自然災害が発生しない場合でも、足場の倒壊リスクは常に存在します。そのため、施工現場では足場を入念に固定したり、強風が予想される場合は足場に負荷をかける養生シートを畳んだりするなど、二次被害を防ぐ対策を徹底することが重要です。 足場の組み立てには国家資格が必要 安全衛生法施行令第6条により、高さ5m以上の足場を組み立てる際には、「足場の組立て等作業主任者」という国家資格を有する者を管理者として選任することが義務付けられています。また、労働安全衛生法第88条では、高さが10m以上で組立から解体までの期間が60日以上の足場を組む場合、労働基準監督署への事前申請が必須とされています。 さらに、平成27年の労働安全衛生法の改正により、足場の組立てを行う全作業員が特別教育を受講するよう定められました。 安全規制と法的要件の遵守 足場工事には、大きな事故のリスクが伴います。そのため、足場設置時には適切な安全規制と法的要件に従って作業を行う必要があります。 作業員は安全帯の着用が義務付けられており、足場の耐荷重を確認し、荷重を超えないように注意しなければなりません。また、足場の高さが2m以上になる場合は、安全フェンスの設置が必要です。 法的要件としては、建築物の高さや地盤の状態に応じて、足場の構造・強度に関する規制があります。これらに適合するように足場を設置し、国土交通省が定める足場工事の技術基準に準拠することが求められます。 足場の業者を選ぶ時のポイント 足場工事を依頼する際、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。 1. 保険加入の確認 足場の設置・解体工事では、事故のリスクを完全に排除することはできません。そのため、業者が請負業者賠償責任保険に加入しているかどうかを必ず確認しましょう。保険に加入していない業者に事故が発生した場合、支払い能力が不足し、トラブルに発展する可能性があります。また、業者が加入している保険の保証内容についても事前に確認することをおすすめします。 2. 適正な見積もりかどうか 「足場代無料」など、不当に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。相場よりも著しく低い価格の見積もりは、後から追加料金を請求されるなどのトラブルにつながる可能性があります。適正な価格で見積もりを提示する業者を選ぶようにしましょう。 3. 丁寧な事前打ち合わせと相談ができるか 初めて足場の設置を依頼する場合、不安や不明点が多いものです。契約前に、打ち合わせを丁寧に行い、質問にも親身に対応してくれる業者を選ぶことが大切です。誠実な対応は、業者への信頼感を高め、安心して工事を任せることができます。 4. 豊富な施工経験と実績があるか 足場工事では、施工経験と実績が非常に重要な要素となります。豊富な実績を持たない業者は、過去に事故やトラブルを起こしている可能性があります。施工経験が豊富で、事故の履歴がない業者を選ぶことで、正確で安全な施工を期待できます。 以上の4つのポイントを踏まえて、足場業者を慎重に選ぶことが、安全で円滑な工事の実現につながります。信頼できる業者を見つけるために、複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。

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