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修繕と改修の違いとは?修理・補修・修復・改良との違いも解説

修繕と改修の違いとは?修理・補修・修復・改良との違いも解説 | 大規模修繕

修繕と改修の違いとは?違いを一覧表で解説

修繕は劣化した建物を元の状態に戻す事であるのに対して、改修は建物をよりアップグレードさせる事である。といった違いがあります。

用語 定義 具体例
修繕
(しゅうぜん)
建物や設備が劣化した際、元の状態またはそれに近い状態へ回復させる工事。 外壁塗装、防水工事
改修
(かいしゅう)
建物の性能や機能をグレードアップさせる工事。 耐震補強、バリアフリー化
補修
(ほしゅう)
即座に必要な部分のみを対応する応急的な措置。 外壁のシーリング打ち替え
修理
(しゅうり)
故障や破損した具体的な部分を直す作業。 機械や家具の破損部分の修正
修復
(しゅうふく)
壊れたり損傷したりしたものを元の状態に戻す作業。 歴史的建造物や芸術作品の復元
改良
(かいりょう)
建物の性能や機能を建設当初の設計を超えて向上させる。 エネルギー効率の改善、最新技術の導入

改修とは

改修は、建物の性能や機能を向上させるために行う工事で、劣化した部分の修繕と同時に、設備やデザインのアップグレードを行います。
改修工事の具体例としては、以下のようなものがあります

  1. 断熱性能の向上:古い窓を二重サッシやペアガラスに交換し、外壁に断熱材を追加することで、エネルギー効率を高める。
  2. バリアフリー化:段差の解消、手すりの設置、ドアの幅の拡張などを行い、高齢者や障がい者にとって住みやすい環境を整える。
  3. 設備の更新:老朽化した給排水管や電気配線を新しいものに交換し、同時に節水型トイレや省エネ照明などを導入する。

改修工事では、単に古くなった部分を直すだけでなく、現代のニーズに合わせて建物の価値を高めることが重要です

修繕とは

修繕は、建物を建築当初の状態に戻すことを目的とした工事で、経年劣化により損傷した部分を修理または交換します。
修繕工事の具体例には以下のようなものがあります

  1. 屋上防水の張り替え:防水シートの劣化により雨漏りが発生している場合、防水層を全面的に張り替える。
  2. 外壁の塗装:塗装の剥がれやひび割れが見られる外壁を、下地の補修を行ってから再塗装する。
  3. 設備の部分交換:エレベーターのワイヤーロープの交換や、ボイラーの一部部品の交換など、設備の一部を取り替える。

修繕工事では、できる限り当初と同じ、または同等の材料を使用し、建物の性能を維持することが重要です。

修理とは

修理は、故障や損傷した部分を直して、元の状態に戻すことを指します。建物以外にも、家電製品や車、家具などの修理が一般的です。
修理の具体例としては、以下のようなものがあります

  1. 家電製品の修理:洗濯機の故障した部品を交換して、正常に動作するようにする。
  2. 車の修理:事故で損傷したボディを元の形に戻し、塗装を施す。
  3. 家具の修理:ゆがみや割れが生じた木製の椅子を、補強や接着剤で直す。

修理では、損傷した部分を元通りに直すことが目的で、必ずしも性能や機能の向上は求められません。

補修とは

補修は、劣化や損傷した部分を部分的に直す工事で、建物の機能を維持することを目的とした応急的な処置として行われることが多いです。
補修工事の具体例には以下のようなものがあります:

  1. タイルの補修:浴室や台所の壁面で剥がれたタイルを、部分的に張り替える。
  2. 配管の補修:水漏れが発生している箇所の配管を一部切り取り、新しい部品を接続する。
  3. 床の補修:フローリングの一部が膨らんでいる場合、その部分を切り取って新しい材料を貼り付ける。

補修工事は、部分的な修理に焦点を当てているため、建物全体の修繕と比べると小規模で、費用も抑えられます。

修復とは

修復は、損傷や劣化した部分を元の状態に戻すことを指し、美術品や歴史的建造物などに使われることが多い言葉です。
修復の具体例としては、以下のようなものがあります

  1. 絵画の修復:経年劣化で損傷した絵画を、専門家が細部まで元の状態に戻す。
  2. 彫刻の修復:戦争や自然災害で壊れた彫刻を、残された部分を元に復元する。
  3. 歴史的建造物の修復:城郭や寺院などの歴史的価値のある建物を、当時の技法や材料を用いて本来の姿に戻す。

修復では、専門的な知識と技術が必要とされ、できる限り元の状態に近づけることが重要視されます。

改良とは

改良は、既存の物を良くすることを目的とした行為や工事で、建物に関しては、設備や機能を向上させることで居住性や利便性を高めることを指します。改良工事の具体例には以下のようなものがあります:

  1. エレベーターの改良:従来のエレベーターをより速く、静かで、省エネルギーなものに取り替える。
  2. セキュリティシステムの導入:オートロックやカメラ監視システムを導入し、住民の安全性を高める。
  3. 給湯システムの改良:ガス給湯器からヒートポンプ式給湯器に切り替え、エネルギー効率を上げる。

改良工事は、改修工事の中でも特に性能や機能の向上に重点を置いたものと言えます。

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この記事を書いた人

大規模修繕の周期は12年→18年に延長できる?建物の劣化状況の診断が大切 | 大規模修繕

結城 伸太郎

職歴:27年

得意分野:防水工事・外構工事・大規模改修管理業務

保有資格:1級建築施工管理技士、1級建築塗装技能士、1級ポリマーセメント防水、1級改質アスファルト防水、外壁1級仕上げ技能者、防水登録基幹技能者、外壁仕上基幹技能者、国際ライセンス サーモグラファーレベル1、監理技術者、職長安全衛生教育、他

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