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大規模修繕

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建設現場の足場の種類は何がある?足場の費用相場や注意点を解説

足場の種類と特徴 くさび式足場(ビケ足場) くさび式足場は、鋼管を支柱として一定間隔で立て、水平材や斜材をくさび状の金具で固定する足場です。低層から中層の建物に適しており、組み立てや解体が比較的容易で、複雑な形状の建物にも対応できるのが特徴です。また、コストパフォーマンスにも優れています。ただし、設置にはある程度のスペースが必要となります。 枠組み足場 枠組み足場は、溶接された鉄製の建枠を主要部材とし、ジャッキやジョイント、筋交いなどの部材を組み合わせて構成される、最も一般的な足場です。軽量で高強度、組み立て・解体も比較的簡単という利点があります。また、ハンマーを使わないため騒音が少ないのも特徴です。15階建て程度までの高層建築物にも使用可能ですが、大掛かりな足場となるため設置スペースや搬入路の確保が必要です。 単管足場 単管足場は、直径48.6mmの鋼管をクランプで接続して組み立てる足場で、歴史が最も古いタイプです。形状の自由度が高く、狭い場所でも設置できるのが利点ですが、組み立てと解体に時間がかかります。また、作業床がないため安全面では注意が必要です。最近はDIYでも使われることがありますが、高所作業には適していません。 吊り足場 吊り足場は、建物の上部から作業床を吊り下げて設置する特殊な足場です。橋梁やプラントなど、地上から組み上げるのが難しい場所で使用されます。ただし、落下のリスクが高いため慎重な施工が求められ、足場の組立て等作業主任者の配置が必要となります。 移動式足場(ローリングタワー) 移動式足場は、下部にキャスターが付いており移動可能な足場です。組み立てた後に移動させられるため、効率的な作業が可能で、高さ調整もできるため天井や壁の仕上げ工事に適しています。ただし、作業中の移動は危険なため、ブレーキの使用など注意が必要です。 各足場には一長一短があるため、現場の状況に合わせて適切な足場を選定することが重要です。また、安全性を最優先に、正しい手順で組み立て・使用することが求められます。近年は、従来の規格を見直した次世代足場も登場しており、作業性と安全性のさらなる向上が期待されています。 次世代足場 次世代足場は、従来の足場の規格を安全面、施工面、管理面から見直し、改善を加えた新しいタイプの足場です。現代の作業者の身長増加に対応し、より広く作業しやすい空間を確保しています。また、安全性の強化として、部材の抜け防止機能を向上させています。 次世代足場は、くさび式足場と比較して大幅な軽量化を実現しており、作業員の負担軽減と作業効率の改善が期待できます。枠組み足場やくさび式足場と比べても優れた性能を持ち、今後の主流になる可能性が高い足場です。 単管ブラケット足場 単管足場にブラケットと床板を取り付けて安全性と作業性を高めた足場です。単管足場よりも安定性があり、狭い場所や低層の建物の工事に適しています。ただし、ブラケットを一つずつ取り付けるため、設置・解体に時間がかかります。 脚立足場 脚立を支柱として使用し、その間に足場板を渡して作られる簡易的な足場です。主に屋内の壁や天井の小規模な作業で使用されます。組み立てが容易で、DIYでもよく利用されています。   足場の部位ごとの名前 主要な足場の種類である枠組み足場、単管足場、そして全ての足場に共通する部材の名称と特徴を紹介します。 枠組み足場の主要部材 脚部(ベース金物):ジャッキベース 足場の最下部に使用され、地面の凹凸を調整して足場全体の水平を保つ役割を果たします。また、足場の重量を広範囲に分散させ、地面への圧力を均等にすることで、柔らかい地面や沈下の恐れがある場所での使用に適しています。 支柱(建地材):建枠(たてわく) 鳥居型建枠と梯子型建枠があります。あらかじめ組み立てられた枠を現場に運び、組み立てることで時間の短縮と効率化が図れますが、形状が固定されているため、現場の条件によっては適応が難しい場合もあります。 布材:下桟(げざん) 足場の水平方向の安定性を確保し、作業員や資材の重量を支持して地面へと伝達する役割を果たします。これにより、足場の安全性が確保されます。 筋交い(ブレス材) 足場の横方向の動きを抑制し、風圧や作業中の荷重による揺れを防ぐことで、足場の倒壊リスクを軽減します。また、三角形の構造を形成することで足場の強度を向上させ、作業中の安全性を高めます。 作業床材:アンチ 枠組み足場でもアンチが使用されます。滑りにくい特性を持つアンチは、作業員の安全を確保するために重要な役割を果たします。 単管足場の主要部材 脚部(ベース金物):固定ベース 足場の最下部に配置され、支柱が直接地面に接触することを防ぎ、足場全体の安定性を保ちます。また、広い面積を持つことで、荷重を分散させ、地面の沈下による足場の傾きを防ぎます。 支柱・布材・筋交い:単管パイプ 足場の基本構造を形成し、荷重を地面に伝達する役割を果たします。また、単管パイプを使って足場の床を作り、水平方向と斜め方向の安定性を確保します。筋交いとして使用される単管パイプは、風圧や重荷に対する足場の安定性を高めます。 作業床材:足場板 強度と耐久性を持ち、作業員の重量や資材の重量に耐えられるように設計されています。単管パイプに簡単に取り付けられ、位置の調整も容易であるため、作業床の面積を柔軟に変更できます。 全ての足場に共通する部材 クランプ 足場のパイプ同士を固定するための部品で、ネジを締めることでパイプ同士をしっかりと固定し、足場の安定性を保ちます。 ジョイント 異なる部分や角度のパイプをつなげるための部品で、足場の形状を自由に組み立てることができます。 昇降階段 足場の異なる高さの階層間を移動するための階段で、作業員の安全な上下移動を可能にします。 ブラケット 足場の外側に取り付けて作業スペースを拡張する部分で、作業員がより広いエリアで作業できるようにします。 壁つなぎ 足場を建物の壁に固定するための部品で、足場の安定性を高め、作業員の安全を確保します。 ネット・シート 足場の周りに取り付けて落下物を防止したり、風雨から保護したりするために使用され、作業の安全性と快適性を向上させます。 足場の設置費用の相場 足場の組み立て・解体・運搬にかかる費用は、一般的に1㎡あたり600~1,000円程度が相場となっています。例えば、30坪程度の一般的な家の外壁を全面的に施工する場合、足場費用だけで15万円前後が必要になります。 足場費用の計算方法 ご自宅の足場にかかる概算費用は、建物の外周から計算することができます。まず、以下の計算式で「足場架面積」を求めます。 足場架面積 = (建物の外周(m) + 8m) × 家の高さ(m) 家の高さの目安は、1階建て=3.5m、2階建て=6m、3階建て=8.5mです。 次に、求めた足場架面積から足場設置費用を計算します。 足場にかかる費用 = 足場架面積 × 平米単価 (600~1,000円) 例えば、外周20メートルの2階建ての家に、平米単価1,000円で足場を組む場合、(外周20m + 8m) × 家の高さ6m ×平米単価1,000円 = 168,000円 となります。   ただし、傾斜地や狭い路地での工事、隣接建物が近接している場合、ガードマンを依頼する必要がある場合などは、さらなるコストが発生する可能性があります。 「足場代無料」は要注意 一部の業者が「足場代無料」をうたっていることがありますが、実際には足場費用を他の施工費に上乗せしている可能性が高いです。 足場の設置には、部材の運搬費、施工・解体費、人件費など、全施工費の約20%を占める費用が発生するため、無料で提供することは業者にとって損失となり、「足場代無料」をうたう業者の提示する見積もりには注意が必要です。 足場費用は、外壁・屋根リフォームを行う上で必要不可欠な経費であることを理解し、適正な価格で依頼することが重要です。 足場の施工をする時の注意点 足場の施工は、高所での作業を伴うため、安全性を最優先に考える必要があります。 悪天候時や自然災害発生時は作業を中止 足場での作業は屋外で行われるため、悪天候や自然災害が発生した場合、作業を中止しなければなりません。労働安全衛生規則では、高さ2m以上の足場での作業を中止するケースを以下のように定めています。 強風:10分間の平均風速が毎秒10メートル以上 大雨:1回の降雨量が50ミリメートル以上 大雪:1回の降雪量が25センチメートル以上 中震以上の地震:震度階数4以上 暴風:瞬間風速が毎秒30メートルを超える風 また、悪天候や自然災害が発生しない場合でも、足場の倒壊リスクは常に存在します。そのため、施工現場では足場を入念に固定したり、強風が予想される場合は足場に負荷をかける養生シートを畳んだりするなど、二次被害を防ぐ対策を徹底することが重要です。 足場の組み立てには国家資格が必要 安全衛生法施行令第6条により、高さ5m以上の足場を組み立てる際には、「足場の組立て等作業主任者」という国家資格を有する者を管理者として選任することが義務付けられています。また、労働安全衛生法第88条では、高さが10m以上で組立から解体までの期間が60日以上の足場を組む場合、労働基準監督署への事前申請が必須とされています。 さらに、平成27年の労働安全衛生法の改正により、足場の組立てを行う全作業員が特別教育を受講するよう定められました。 安全規制と法的要件の遵守 足場工事には、大きな事故のリスクが伴います。そのため、足場設置時には適切な安全規制と法的要件に従って作業を行う必要があります。 作業員は安全帯の着用が義務付けられており、足場の耐荷重を確認し、荷重を超えないように注意しなければなりません。また、足場の高さが2m以上になる場合は、安全フェンスの設置が必要です。 法的要件としては、建築物の高さや地盤の状態に応じて、足場の構造・強度に関する規制があります。これらに適合するように足場を設置し、国土交通省が定める足場工事の技術基準に準拠することが求められます。 足場の業者を選ぶ時のポイント 足場工事を依頼する際、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。 1. 保険加入の確認 足場の設置・解体工事では、事故のリスクを完全に排除することはできません。そのため、業者が請負業者賠償責任保険に加入しているかどうかを必ず確認しましょう。保険に加入していない業者に事故が発生した場合、支払い能力が不足し、トラブルに発展する可能性があります。また、業者が加入している保険の保証内容についても事前に確認することをおすすめします。 2. 適正な見積もりかどうか 「足場代無料」など、不当に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。相場よりも著しく低い価格の見積もりは、後から追加料金を請求されるなどのトラブルにつながる可能性があります。適正な価格で見積もりを提示する業者を選ぶようにしましょう。 3. 丁寧な事前打ち合わせと相談ができるか 初めて足場の設置を依頼する場合、不安や不明点が多いものです。契約前に、打ち合わせを丁寧に行い、質問にも親身に対応してくれる業者を選ぶことが大切です。誠実な対応は、業者への信頼感を高め、安心して工事を任せることができます。 4. 豊富な施工経験と実績があるか 足場工事では、施工経験と実績が非常に重要な要素となります。豊富な実績を持たない業者は、過去に事故やトラブルを起こしている可能性があります。施工経験が豊富で、事故の履歴がない業者を選ぶことで、正確で安全な施工を期待できます。 以上の4つのポイントを踏まえて、足場業者を慎重に選ぶことが、安全で円滑な工事の実現につながります。信頼できる業者を見つけるために、複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。

マンション足場費用はなぜ高い?仮設費用の20~50%を削減する方法

マンションの大規模修繕を検討する際、多くの管理組合様やオーナー様が驚かれるのが、想像以上に高額となる「足場費用」です。 実は、足場の費用が高額になるのには、いくつかのハッキリとした理由があります。 建物の特性や現場の環境、そして安全基準の変化など、様々な要因が絡み合って費用を押し上げているのです。 しかし、この高額な費用も、決して「仕方がない」と諦める必要はありません。 この記事では、東北地方で数多くのマンション大規模修繕を手がけてきた専門業者の視点から、足場費用が高額になってしまう主な4つの理由を分かりやすく解説します。 さらに、コストを大幅に削減できる可能性を秘めた「無足場工法」という選択肢についても、詳しくご紹介していきます。 マンション大規模修繕の足場費用、総額・単価はいくら? マンション大規模修繕における足場費用は、工事全体の予算の中でも大きな割合を占める項目です。 一般的に、足場費用は工事総額のおよそ2割を占めると言われています。 出典:「国土交通省 令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査」 つまり、もし総額1億円の修繕工事であれば、そのうち2,000万円前後が足場代に充てられる計算になるわけです。 この高額な費用が、実際のところどれくらいの相場で、どのように計算されているのか、詳しく見ていきましょう。 1㎡あたりの足場費用単価はどれくらい? マンション大規模修繕で使われる足場の単価は、建物の条件や地域によってかなり幅があります。 一般的な相場としては、1㎡あたり700円から1,500円程度と考えておくとよいでしょう。 比較的条件の良い地方の物件では700円~1,000円/㎡くらい、都市部の一般的なマンションでは1,000円~1,500円/㎡、さらに高層マンションになると安全対策の強化などが求められるため、1㎡あたり2,000円を超えることもあります。 足場費用の計算方法(目安としての考え方) 足場費用は、基本的には「足場架面積 × 平米単価」という式で計算されます。 足場架面積というのは、マンションの外周に作業のための余裕分を加えた長さに、建物の高さを掛け合わせた面積のことです。 足場架面積 = (建物の外周(m) + 余裕を持たせる数m) × 建物の高さ(m) 例えば、外周が80mの中層マンションで、足場を設置するための余裕を8mとし、高さが10mだったとしましょう。 この場合、足場架面積は (80m + 8m) × 10m = 880㎡ となります。 もし単価を1,200円/㎡とすると、足場費用は約105万6千円と試算できます。 ただし、これはあくまで大まかな目安です。実際には、マンションの形や現場の状況によって金額は変わってきます。 マンション規模別の費用目安【例:東北の場合】 東北地方のマンションを例に、規模ごとの足場費用の目安をご紹介します。 ここでは、仮に1㎡あたり1,000円とした場合の試算ですが、あくまで参考としてご覧ください。 階数 足場費用目安(外周60m) 備考 2階 約38.4万円 低層マンション 5階 約96万円 中層マンション 8階 約153.6万円 高層マンション ※高層の場合は単価が上がることが多いため、上記は最安値に近い目安です。 これらはあくまで目安であり、実際の費用は建物の状態や立地条件などによって大きく変動することを心に留めておいてください。 足場費用の内訳(主な構成要素) 足場費用は以下のような要素で構成されています。 人件費 足場の設置・解体作業に関わる職人の人件費 資材レンタル費 足場材のリース料(工期が長引くほど増加) 運搬費 足場材を現場まで運ぶトラック燃料費や人力搬入の場合の人件費 材料費 鋼管・足場板・メッシュシート(150〜200円/㎡)など 交通費 作業員の現場までの移動費 運営費 足場会社の事務所維持費や保険料など 安全対策費/保険料 安全管理や万一の事故に備えた保険 中間マージン 元請けの工事業者が足場専門業者に外注する場合の手数料 こうした内訳を知っておくと、見積もりが出されたときに、見積もりの妥当性を判断する材料にもなります。 では次に、なぜマンションの足場費用はこれほど高額になってしまうのか、その主な4つの理由について、一つひとつ詳しく見ていきましょう。 なぜこんなに高い?マンション足場費用が高額になる4つの理由 マンションの大規模修繕で足場費用が高額になる理由は、主に以下の4つが挙げられます。 建物の高さ・形状・規模による影響 敷地の狭さや周辺環境による制約 足場の設置期間と人件費 安全基準強化による「本足場」義務化 それぞれの理由について、詳しく解説していきます。 理由①:建物の高さ・形状・規模が費用を左右する まず、建物の大きさや高さ、そして形状が足場費用に影響します。 当然ながら、規模が大きいほど、また高層になるほど、足場を組む面積と必要な資材が増えるため、費用も高くなります。 高層マンションほど足場の費用も高くなるのが一般的です。 超高層マンションの仮設工事割合は29.0%であったのに対し、それ以外では21.9% 参考:「国土交通省 令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査」 高層になると、より頑丈な「枠組足場」という種類の足場が使われることが多く、低層向けの足場(くさび緊結式足場など)より1㎡あたりの単価が200円~400円ほど高くなることも。 10階建てクラスのマンションでは、平米単価が2,000円以上に跳ね上がるケースも珍しくありません。 また、凹凸の多い外壁や複雑なバルコニーの形状など、建物の形が複雑な場合も、足場を組む際に余分な部材が必要になったり、組み立てに手間がかかったりするため、費用が上がりやすくなります。 複雑な形状の建物ほど、足場費用も高めに見積もられることが多いでしょう。 理由②:敷地の狭さや周辺環境が追加コストを生む 建物の周りの作業環境、特に敷地の広さも費用に影響します。 マンションの敷地が狭い場合、足場の資材を運び込んだり、組み立てたりする作業に制約が生じ、追加のコストが発生することがあります。 例えば、建物の周りの道幅が狭く、資材運搬用のトラックが現場に直接乗り入れられないケース。 この場合、足場の材料を少し離れた場所から人の手で運ばなくてはならず、その分、運搬の手間や人件費が増えてしまいます。 敷地内に十分な資材置き場を確保できない場合も同様です。 材料を一度に搬入・仮置きできないと、作業に合わせて小分けに資材を配送したり、近隣に一時的な置き場所を借りたりする必要があり、物流・保管コストが増加します。 さらに、都心部のように道路に面した場所で作業する際には、歩行者や車両への安全対策としてガードマンを配置したり、場合によっては夜間作業を行ったりする必要があり、その分の人件費も仮設工事費用に上乗せされることがあります。 敷地・周辺環境による費用増の具体例 資材搬入の困難:トラックが近づけず、人力での運搬が必要になる。 資材置き場の不足:小分け配送や一時的な保管場所の確保が必要になる。 追加の安全対策:ガードマンの配置や夜間作業などが必要になる このように、敷地や周りの環境に制約が多い現場ほど、足場を組むのに余計なコストがかかり、結果として足場の費用が膨らんでしまうというわけです。 理由③:足場の設置期間が長いほど費用がかさむ 足場を設置している期間、つまり工期の長さも費用に大きく関わります。 大規模修繕では足場を長期間にわたって設置したまま工事を進めるため、足場を組んだり解体したりする人件費はもちろん、足場材のレンタル料や、設置期間中の維持管理にも費用がかかるのです。 マンションの足場の組立・解体作業には、相応の時間と人員が必要です。 一般的な戸建て住宅なら数時間で済む足場組立も、マンションのような大型の建物になると、設置だけで1週間から3週間程度かかることも珍しくありません。 50戸規模の中低層マンションでも足場設置に10日~2週間、100戸を超えるような大きなマンションなら2週間から3週間を要することも。  解体にも設置期間の約1/3ほどの時間がかかるため、これらの人件費が費用の大きな部分を占めます。 これに加えて、足場材をレンタルしている場合、レンタル期間延長に伴う料金が月単位でかかるというわけです。 また、足場は長期間設置していると、労働安全衛生規則により定期的な安全点検が義務付けられており、その都度、点検する人の人件費や記録作成コストが生じます。 設置期間の長期化による費用増の内訳 組立・解体作業の人件費:大規模なマンションほど日数がかかり、高額になる。 足場材のレンタル料:設置期間が長引くほど、月単位で費用が増加する。 定期的な安全点検・維持管理費:法律で義務付けられており、期間中継続的に発生する。 工期が延びる原因としては、天候不良や追加工事の発生、作業員の確保状況など様々です。例えば梅雨や台風シーズンに工事が重なると、当初予定より足場解体が遅れ、その分、想定外のコスト増となることがあります。 理由④:2024年の安全基準強化で「本足場」が義務化 2024年4月1日から施行された労働安全衛生規則の改正も、足場費用を押し上げる一因となっています。 この改正により、高さ2m以上で、かつ建物の外周から1m以上の作業スペースが確保できる場所では、「本足場(ほんあしば)」という種類の足場を使うことが原則として義務付けられました。 本足場とは、建物の外壁に沿って内側と外側の二列に支柱を立て、その間に作業用の床を設置するタイプの足場(「二側足場(ふたかわあしば)」とも呼ばれます)。 従来よく使われていた、建物の片側だけに支柱を立てる簡易的な一側足場(ひとかわあしば)と比べ、本足場は安定性や安全性が格段に高い反面、使う部材の量も設置にかかる手間も大幅に多くなります。 この義務化以前は、コスト削減のために一側足場が使われることもありましたが、法改正後は、建物の周囲に十分なスペースがある場合、原則として本足場を使用しなければなりません。 そのため、使用する足場部材の量が増加し、組立・解体に必要な作業人数や運搬トラックも増えるため、結果として足場費用はこれまでの1.5~2倍程度まで上昇すると試算されています。 「本足場」義務化による費用増の理由 使用部材・工数の増加:従来の一側足場より、安全性が高い分、多くの材料と手間が必要になるため。 原則使用が必須に:高さ2m以上で一定のスペースがあれば、よりコストのかかる本足場が求められるようになったため。 費用への影響:結果として、従来の足場費用から1.5~2倍程度になることも見込まれるため。 作業員の安全確保のためには必要不可欠な措置ですが、マンション大規模修繕における足場費用の高騰という影響をもたらしているのです。 この本足場義務化について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 「無足場工法」なら仮設費用の20~50%を削減可能 ここまでお読みになって、「やっぱり足場費用は高いなあ…」と感じられたかもしれません。 そこで注目したいのが「無足場工法」です。  無足場工法とは、その名の通り、建物の周りに足場を組まず、ゴンドラや高所作業車といった吊り下げ式の作業装置などを使って外壁の工事を行う方法のことです。 この無足場工法の最大の魅力は、なんといっても足場を組んだり解体したりする費用が削減される、という点でしょう。  その結果、大規模修繕の総費用の中でも大きな割合を占める足場関連のコストを抑えられる可能性があるのです。 さらに、足場の組み立てや解体にかかる期間がなくなることで工期の短縮も期待でき、それに伴って、人件費や足場材のレンタル料なども抑えられ、結果として大規模修繕全体の費用を大きく減らせるケースがあります。 ゆうき総業の事例では、120万円のコスト削減につながった事例もあります。 ただし、無足場工法に対応できる業者は限られているため、業者選定の際には気を付けましょう。 なお、ゆうき総業は、仙台で数少ない、無足場工法を取り扱える施工業者です。 無足場工法のメリットや、実際の事例は以下のページをご覧ください。 足場工事を依頼する際の注意点 足場工事を依頼する際に、注意していただきたい点があります。 特に、提示された見積もりが相場と比べて著しく安い場合は、慎重な判断が求められます。(足場を組む場合) 相場より安すぎる場合は注意が必要 あまりにも相場より安い場合は、注意してください。 足場の組み立てや解体は慎重に行うべき作業なのに、1日に何本も詰めて過密な工程になっている可能性があります。 その場合、事故やトラブルを誘発しやすい環境となり、結局はお客様が嫌な思いをすることになりかねません。 安すぎる価格は、トラブルやミスが起きる可能性が大きいため、安いからと言ってすぐには飛びつかず、なぜその価格で提供できるのか、見積もりの内訳や工事の進め方などをしっかりと確認することが大切です。 足場が無料と言われた場合 時折、「足場費用は無料です!」といった宣伝文句を見かけることがありますが、これには注意が必要です。 原則として、足場の設置・解体、そしてその資材に費用がかからない、ということはあり得ません。 もし「無料」と謳っている場合、その費用は他の工事項目に上乗せされているか、あるいは全体の工事費に含まれているだけで、実質的には無料になっていないケースがほとんどです。  安全かつ質の高い仕事をするためには、無料にすることはあり得ない話なので、「キャンペーンでいまなら足場代が無料」などの売り文句には惑わされないようにしてください。 まとめ:高額な足場費用の悩み、無足場工法で解決できます ここまで、マンション大規模修繕における足場費用が高額になる主な理由と、その構造についてご説明してきました。 建物の特性 現場の環境 工期の長さ 安全基準の強化 といった要因が絡み合い、マンション足場費用が工事全体の約2割を占めるという現実があることをご理解いただけたかと思います。 しかし、決して「仕方ない」と諦める必要はありません。 ゆうき総業が得意とする無足場工法なら、足場の設置・解体費用を削減し、工期短縮による人件費削減も同時に実現できます。 東北地方で培った豊富な施工実績と高い技術力により、安全性や品質を一切妥協することなく、大幅なコスト削減をサポートいたします。 足場費用にお悩みの管理組合様、オーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。 最適な大規模修繕プランをご提案いたします。

修繕と改修の違いとは?修理・補修・修復・改良との違いも解説

修繕と改修の違いとは?違いを一覧表で解説 修繕は劣化した建物を元の状態に戻す事であるのに対して、改修は建物をよりアップグレードさせる事である。といった違いがあります。 用語 定義 具体例 修繕 (しゅうぜん) 建物や設備が劣化した際、元の状態またはそれに近い状態へ回復させる工事。 外壁塗装、防水工事 改修 (かいしゅう) 建物の性能や機能をグレードアップさせる工事。 耐震補強、バリアフリー化 補修 (ほしゅう) 即座に必要な部分のみを対応する応急的な措置。 外壁のシーリング打ち替え 修理 (しゅうり) 故障や破損した具体的な部分を直す作業。 機械や家具の破損部分の修正 修復 (しゅうふく) 壊れたり損傷したりしたものを元の状態に戻す作業。 歴史的建造物や芸術作品の復元 改良 (かいりょう) 建物の性能や機能を建設当初の設計を超えて向上させる。 エネルギー効率の改善、最新技術の導入 改修とは 改修は、建物の性能や機能を向上させるために行う工事で、劣化した部分の修繕と同時に、設備やデザインのアップグレードを行います。 改修工事の具体例としては、以下のようなものがあります 断熱性能の向上:古い窓を二重サッシやペアガラスに交換し、外壁に断熱材を追加することで、エネルギー効率を高める。 バリアフリー化:段差の解消、手すりの設置、ドアの幅の拡張などを行い、高齢者や障がい者にとって住みやすい環境を整える。 設備の更新:老朽化した給排水管や電気配線を新しいものに交換し、同時に節水型トイレや省エネ照明などを導入する。 改修工事では、単に古くなった部分を直すだけでなく、現代のニーズに合わせて建物の価値を高めることが重要です。 修繕とは 修繕は、建物を建築当初の状態に戻すことを目的とした工事で、経年劣化により損傷した部分を修理または交換します。 修繕工事の具体例には以下のようなものがあります 屋上防水の張り替え:防水シートの劣化により雨漏りが発生している場合、防水層を全面的に張り替える。 外壁の塗装:塗装の剥がれやひび割れが見られる外壁を、下地の補修を行ってから再塗装する。 設備の部分交換:エレベーターのワイヤーロープの交換や、ボイラーの一部部品の交換など、設備の一部を取り替える。 修繕工事では、できる限り当初と同じ、または同等の材料を使用し、建物の性能を維持することが重要です。 修理とは 修理は、故障や損傷した部分を直して、元の状態に戻すことを指します。建物以外にも、家電製品や車、家具などの修理が一般的です。 修理の具体例としては、以下のようなものがあります 家電製品の修理:洗濯機の故障した部品を交換して、正常に動作するようにする。 車の修理:事故で損傷したボディを元の形に戻し、塗装を施す。 家具の修理:ゆがみや割れが生じた木製の椅子を、補強や接着剤で直す。 修理では、損傷した部分を元通りに直すことが目的で、必ずしも性能や機能の向上は求められません。 補修とは 補修は、劣化や損傷した部分を部分的に直す工事で、建物の機能を維持することを目的とした応急的な処置として行われることが多いです。 補修工事の具体例には以下のようなものがあります: タイルの補修:浴室や台所の壁面で剥がれたタイルを、部分的に張り替える。 配管の補修:水漏れが発生している箇所の配管を一部切り取り、新しい部品を接続する。 床の補修:フローリングの一部が膨らんでいる場合、その部分を切り取って新しい材料を貼り付ける。 補修工事は、部分的な修理に焦点を当てているため、建物全体の修繕と比べると小規模で、費用も抑えられます。 修復とは 修復は、損傷や劣化した部分を元の状態に戻すことを指し、美術品や歴史的建造物などに使われることが多い言葉です。 修復の具体例としては、以下のようなものがあります 絵画の修復:経年劣化で損傷した絵画を、専門家が細部まで元の状態に戻す。 彫刻の修復:戦争や自然災害で壊れた彫刻を、残された部分を元に復元する。 歴史的建造物の修復:城郭や寺院などの歴史的価値のある建物を、当時の技法や材料を用いて本来の姿に戻す。 修復では、専門的な知識と技術が必要とされ、できる限り元の状態に近づけることが重要視されます。 改良とは 改良は、既存の物を良くすることを目的とした行為や工事で、建物に関しては、設備や機能を向上させることで居住性や利便性を高めることを指します。改良工事の具体例には以下のようなものがあります: エレベーターの改良:従来のエレベーターをより速く、静かで、省エネルギーなものに取り替える。 セキュリティシステムの導入:オートロックやカメラ監視システムを導入し、住民の安全性を高める。 給湯システムの改良:ガス給湯器からヒートポンプ式給湯器に切り替え、エネルギー効率を上げる。 改良工事は、改修工事の中でも特に性能や機能の向上に重点を置いたものと言えます。 関連記事

大規模修繕の周期は12年→18年に延長できる?建物の劣化状況の診断が大切

大規模修繕の実施時期・周期の目安 一般的に12年周期で実施されることが多いですが、これには国土交通省のガイドラインの影響や、特定建築物定期調査における全面打診調査の義務化、塗膜などの劣化を考慮していることなどが理由として挙げられます。 しかし、大規模修繕の実施時期は、マンションの具体的な劣化状況に応じて前後することがあります。 まずは築10年目に行う初回診断で、正確な劣化状態をしっかり把握し、その後、外壁を中心とした修繕から、内部の付属部位も含めた修繕へと範囲が広がっていきます。25〜30年を超えると、建物全域にわたる修繕や設備の更新、耐震補強なども必要になります。 計画的な修繕を行わないと、劣化が進行し修繕費用も増大してしまいます。 まずは、12年を基本周期としつつも、マンションの個別状況に合わせた調整が大切です。 関連記事 築年数ごとの修繕内容の目安 マンションの大規模修繕では、建物の各部位や設備ごとに修繕・更新の時期の目安があります。築年数に応じたメンテナンスポイントと修繕箇所は以下の通りです。 築4~6年 鉄部塗装などの劣化兆候が現れ始めるため、建物点検報告書を確認し、長期修繕計画の見直しを行います。 築7~10年 大規模修繕工事に向けての準備期間です。建物点検報告書を確認し、建物診断の受診をおすすめします。修繕箇所は鉄部、屋根、屋上、給水ポンプ、雨水排水ポンプなどです。 築11~15年 第1回大規模修繕工事(屋上防水・電気設備)、インターホン等の修繕を実施し、長期修繕計画を見直します。修繕箇所は鉄部、外壁、屋根、屋上、電灯設備、廊下・階段、バルコニー、インターホン、TVアンテナ等、消火栓等、エントランス、集会室等、機械式駐車場、付属施設、車道・歩道・植栽等です。 築16~20年 鉄部塗装・屋上防水、自火報関連、機械式駐車場、給排水ポンプ等の修繕を行います。設備診断の受診をおすすめします。 築21~25年 第2回大規模修繕工事(給水管交換)を実施し、長期修繕計画を見直します。修繕箇所は第1回大規模修繕工事に加え、エレベーター、給水管、雑排水管、給水ポンプ、雨水排水ポンプなどです。 築26~30年 エレベーター交換、インターホンの修繕を行います。 築31~40年 第3回大規模修繕工事(玄関ドア交換、サッシ交換、手摺交換)、排水管更新を実施し、長期修繕計画を見直します。機能・性能・材質面の更新を含む改良工事の検討が必要です。 建物本体では、傾斜屋根、陸屋根・ルーフバルコニー、外壁、雨樋、ベランダ、階段・廊下などの修繕時期の目安は11~15年目となっています。 室内設備では、給湯・バランス釜、エアコン、浴室設備、厨房設備、洗面化粧台、トイレなどの修理の目安が5~10年目、一斉交換の目安が11~15年目となっています。 その他、配管、外部建具、外構、浄化槽、給水設備、エレベーターなどの修繕・更新時期の目安も部位ごとに異なりますので、各劣化状況を定期的にチェックし、適切な時期に修繕・更新を行うことが重要です。 大規模修繕の周期の、建物の種類による違い マンションの大規模修繕の周期は、建物の種類によって異なります。 分譲マンションの場合、修繕委員会などが設置され、ガイドラインに基づいて大規模修繕が実施されます。 一方、商業ビルや賃貸マンションなどの収益ビルの大規模修繕は、オーナーの判断により行われ、具体的な周期を定めたガイドラインはありません。ただし、建物の規模によって1年ごとか3年ごとの定期報告が必要であり、外壁の全面調査も義務付けられています。 収益ビルの大規模修繕の周期 収益ビルの所有者は、適切な補修や修繕を行うことで資産価値を維持し、新技術を導入するリノベーションにより資産価値を向上させる必要があり、これは店舗やオフィスへのリーシングを行う上でも重要な要素となります。 さらに、建物の所有者には管理責任があり、漏水などの事故が発生した場合、店舗への賠償責任が生じる可能性もあるため、安全性の確保は重要です。 収益ビルの大規模修繕の周期は、日常のメンテナンス状況により異なるため、一概に決めることはできません。ただし、建材の平均的な寿命などを参考に、大まかな目安を立てることが重要です。 例えば、屋上防水の耐用年数は、アスファルト防水で15〜25年、シート防水で10〜15年、ウレタン防水で10〜12年となっています。 外壁塗装や屋上防水、エレベーターや給排水管の交換といった様々な箇所の修繕や改修のタイミングや費用を、あらかじめ長期修繕計画として立てておくことが重要です。 この計画をもとに、実際の建物調査により具体的な計画立案を行い、5年程度ごとに見直しを行うことが推奨されます。長期修繕計画を立て、修繕に必要な資金の目安を作り、修繕積立金の額を想定することで、利益の確認もできるようになります。 大規模修繕のタイミングは建物の状況によって異なる 同じ築年数や戸数であっても、建物の形状、構造、環境、管理状況などの要因により、劣化の進行や故障の発生は建物ごとに異なるため、一律に周期や回数を決めることはできません。 大規模修繕の実施については、各管理組合が建物の状況を見極めて判断することが多いです。 一般的な目安としては12~15年程度とされており、大規模修繕工事のタイミングは、長期修繕計画に記載されています。 近年、大規模修繕の周期を延ばす動きも出てきましたが、実施時期は建物の状況に大きく依存します。適切な時期を判断するために、まず建物診断を行い、現状を確認することが重要です。 多くのマンションでは、築10年を超えた頃から情報収集や修繕委員会の立ち上げ、建物診断の実施など、少しずつ準備を始めます。 大規模修繕工事の準備には通常1~2年程度かかるため、工事時期を延ばす場合はさらに検討時間が必要になります。 大規模修繕工事は資金計画とも直結しているため、長期修繕計画は5年ごとに見直し、現状を反映させることが重要です。 大規模修繕の前に建物診断、全面打診調査を実施する マンションの大規模修繕を行う前には、建物の状態を正確に把握するために、建物診断と全面打診調査を実施することが重要です。 建築基準法では、建築物の所有者、管理者、占有者は、建物を常に適法な状態に維持するよう努めなければならないと定められています。 特に、平成20年4月の建築基準法改正により、タイル貼りやモルタル仕上げのマンションは、竣工や改修から10年を経過した場合、3年以内に外壁の全面打診調査を実施することが義務付けられました。 この調査は、外壁のタイル落下事故を防止することを目的としています。 全面打診調査には足場が必要であり、コストがかかるため、大規模修繕工事と同時に全面打診調査を行うのが効率的です。 これが、12年ごとに大規模修繕工事を実施するという考え方が一般的になった理由の一つです。 5~15年ごとの建物診断で修繕の実施時期や修繕範囲を決める 建物診断は、日常点検や定期点検とは別に、概ね5~15年ごとに行われ、長期修繕計画に記載された全ての項目を対象とします。 診断方法には、目視、打診、触診、機械による計測調査などがあり、詳細な調査が行われます。 建物診断の結果は、大規模修繕の実施時期や修繕範囲、修繕仕様を決める根拠となり、おおまかな修繕費用の概算も算出できます。建物診断には無料診断と有料診断の2種類があります。 無料診断は簡易な目視や触診、打診などを行い、一定の劣化や不具合を確認する診断で、一方、有料診断は、目視や触診、打診に加え、機械調査まで行う場合が多く、費用は建物の大きさや形状により数十万円から数百万円程度かかります。 複数の工事会社や調査会社による建物診断や工事見積を受けることで、多様な視点からの診断を受けることができ、見落としリスクの軽減につながります。 大規模修繕は数を重ねるごとに内容や改修箇所が変わる 最初の大規模修繕工事が築後12年頃に行われるとすると、2回目は築後24年頃に実施されますが、2回目以降の工事は、建物の劣化度合いが1回目とは異なるため、改修内容も変わってきます。 1回目の大規模修繕は主に建物の外部を中心に行われますが、2回目では建物内部の付属的な部位やパーツの改修も含まれるようになり、3回目になると、建物内部の主要な設備や部材の更新に加え、耐震補強工事や省エネ化工事といった時代に合わせた工事も求められることがあります。 回を重ねるごとにコストが増大していくことは避けられないため、修繕費用の確保を適切に想定しておく必要があります。 また、新築時には最先端の機能・性能を有していた建物でも、築年数が経てば陳腐化してしまうことがよくあります。居住者のニーズに応じて、大規模修繕と合わせてリフォーム、リニューアル、リノベーションといったグレードアップの工事を実施することも必要となります。 大規模修繕の目的が「維持」から「機能復旧・アップグレート」へ変わっていく 1回目の大規模修繕では建物の維持・保全が主な目的ですが、2回目は機能復旧、3回目では機能復旧に加えてグレードアップが目的となります。 大規模修繕工事は、仮設工事、下地補修工事、タイル補修工事、シーリング工事、外壁塗装工事、鉄部塗装工事、防水工事など、複数のステップに分けて行われますが、2回目以降の工事では、建物の劣化具合に応じてより多くのステップで、踏み込んだ工事が必要となり工事期間も長く、費用も高くなる傾向にあります。 3回目以降になると、排水管やサッシ、電気設備などの工事やバリアフリー設備の増設なども考慮する必要があり、さらなる費用の増加が予想されます。 マンションの大規模修繕工事は、25~30年の長期的スパンで考えるべきものであり、12年周期をひとつの目安として、工事と費用を確保するためのロードマップを作成しておくことが重要です。

マンション大規模修繕に「周期」はない?時期を決める4つのポイントと季節

マンション大規模修繕、「12年ごと」とよく聞きますが、本当にそれがベストタイミングなのでしょうか? 「もう少し先に延ばせるのでは?」 「費用を抑えつつ資産価値も守りたい」 と、管理組合の理事やオーナー様なら、誰もが悩むポイントです。 時期の見極めは、建物の寿命や将来のコストにも関わる重要な判断です。 この記事では、最適なタイミングを見極めるための具体的な方法を、分かりやすく解説します。 一般的な周期の話だけでなく、法定点検や季節、コスト削減のコツまで網羅。 最適な修繕計画を立てるために、ぜひ最後までお読みください。 この記事でこんな疑問が解決します。 大規模修繕の「周期」の考え方と注意点 最適な時期を見極める4つの重要ポイント 工事に適した季節(メリット・デメリット) 工事期間の目安と短縮する方法(無足場工法含む) 修繕積立金が足りない場合の対策 大規模修繕の周期、12年説は本当?15年・18年への延長も まずは、大規模修繕の周期について基本的な考え方をおさらいしましょう。 一般的に「12年周期」が目安とされる背景には、いくつかの理由があります。 しかし、近年では技術の進歩などにより、修繕周期を延ばす「長周期化」という考え方も出てきています。 12年がマンション大規模修繕の目安と言われる訳 マンション大規模修繕の周期として「12年」が広く認識されるようになった背景には、国土交通省が公開している「長期修繕計画作成ガイドライン」の影響があります。 平成20年版のガイドラインでは、長期修繕計画のモデルケースとして、12年程度で修繕工事を行う例が示されました。 これを参考に多くの管理会社や設計事務所が計画を作成したため、「12年周期」が一般的な目安として定着したのです。 参考:長期修繕計画作成ガイドライン(国土交通省) ただし、この12年という数字はあくまで目安であり、法的な義務ではありません。 また、12年周期が意識されるもう一つの理由として、改正建築基準法による外壁の全面打診調査があります。 竣工・外壁改修後10年を経過したタイル貼りなどのマンションでは、3年以内に外壁の全面的な打診調査等が義務付けられました。 この調査には多くの場合、足場の設置が必要となるため、「どうせ足場を組むなら、大規模修繕も一緒に行おう」と、12年目あたりで実施するケースが多く見られます。 さらに、外壁に使われる塗料やシーリング材などの部材の耐用年数も考慮されています。 一般的な塗料の寿命は8〜12年程度と言われており、この期間を過ぎると塗膜の浮きやひび割れ、剥がれなどが進行し、建物のコンクリート躯体を十分に保護できなくなります。 15年・18年へ修繕周期の延長は本当に得? リスクも確認 近年は、部材の性能向上や診断技術の進化により、修繕周期を15年や18年、あるいはそれ以上に延ばす「長周期化」も選択肢になっています。 高耐久な材料を使い、工事回数を減らして長期的なコスト削減を目指す考え方です。 実際、国土交通省の調査でも、マンション大規模修繕の平均実施周期は13.0年(1回目は平均15.6年)と、12年周期が絶対ではないことが分かります。 参考:令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(国土交通省) ただし、単に周期を延ばすことはリスクも伴います。 延長を検討する場合は、以下の点を専門家による正確な建物診断に基づいて慎重に判断する必要があります。 建物の状態は良好か?: 日常メンテナンス、立地環境、施工品質、使用材料の耐久性など。 長期修繕計画は見直したか?: 安易な先送りは劣化を進行させ、将来の費用増につながるリスクがあります。60年程度の長期視点での計画が必要です。 部分的な先行補修は必要か?: 全体的な周期を延ばす代わりに、劣化が目立つ箇所の計画的な補修が必要になる場合があります。 管理組合の財政状況も踏まえ、専門家と相談しながら、ご自身のマンションに最適なタイミングを見極めることが重要です。 結局のところマンションの修繕周期は12年・15年・18年といった数字は目安に過ぎません。 最も重要なのは、よくある年数に捉われず、マンション固有の状況(劣化、立地、管理状況など)に基づき、計画的に最適な修繕時期を判断すること。 それが資産価値を守る鍵となります。 周期延長の可否や劣化診断について、以下の記事でより詳しく解説しています。 マンション大規模修繕の「最適な時期」を決める4つの重要ポイント ここまで、大規模修繕の周期はあくまで目安であることがお分かりいただけたと思います。 では、最適な着工時期を決める上で特に重要な4つのポイントを解説します。 ポイント1① 法定点検(外壁打診調査)の時期に合わせる 前述の通り、建築基準法では、竣工または外壁改修から10年を経過したマンション等に対し、3年以内に外壁の全面打診等調査を行い、特定行政庁へ報告することが義務付けられています(※条件により異なります)。 この調査結果は、大規模修繕の必要性や緊急性を判断する重要な材料となります。 多くのマンションでは、この法定調査のタイミング(築11~13年目頃)に合わせて大規模修繕を計画します。 調査で外壁タイルの浮きや剥離などの劣化が確認されれば、安全確保のためにも早めの修繕が必要となるでしょう。 調査結果を踏まえ、専門家のアドバイスを受けながら、具体的な工事内容と時期を検討していくのが一般的な流れです。 ポイント② 管理組合の合意形成(期間目安は約2〜3年) 大規模修繕は、マンション管理組合にとって最大のイベントの一つです。 これをスムーズに進めるには、マンションの所有者である皆さんが、計画や費用についてしっかり話し合い、意見を一つにまとめなくてはいけません。 スムーズに計画を進めるためには、十分な準備期間を見込む必要があります。 マンション大規模修繕の合意形成までの一般的な流れ 修繕委員会の設置: 理事会だけでは負担が大きいため、専門委員会を立ち上げ、情報収集や検討を進めます。(工事開始の2~3年前) アンケート調査・建物診断: 住民の意向調査や専門家による建物診断を実施し、修繕の必要箇所や要望を把握します。(工事開始の1.5~2年前) 基本計画・業者選定: 修繕内容、概算費用、スケジュールなどを盛り込んだ基本計画案を作成し、施工業者やコンサルタントを選定します。(工事開始の1~1.5年前) 説明会の開催: 住民向けの説明会を複数回開催し、計画内容や費用について理解を求めます。(工事開始の半年前~1年前) 総会決議: 管理組合の総会で、修繕工事の実施と予算について決議を得ます。(工事開始の半年前頃) このように、合意形成には検討開始から通常2年~3年程度の期間がかかります。 また、管理組合の決算期や総会の開催時期も考慮に入れる必要があります。 予算案の承認や業者との契約などをスムーズに進めるためにも、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。 ポイント③ 他の工事と同時実施で足場代を節約 大規模修繕の際には、足場を設置するのが一般的です。この足場設置費用は、工事費全体の約20%を占めるとも言われ、大きなコスト要因となります。 もし、近い将来にエレベーターの更新や給排水管の改修など、他の設備更新工事も予定されている場合は、大規模修繕とタイミングを合わせることで、足場を共用し、コストを削減できる可能性があります。 長期修繕計画を見直し、関連する工事の実施時期を調整することも検討してみましょう。 ポイント④ 工事時期の「季節」も重要 工事の品質や工期は季節要因によっても左右されるため、着工時期を決める上での判断材料となります。 一般的に気候の安定する春・秋が好まれますが、工事が集中する繁忙期となる点や、梅雨・台風、厳冬期ならではのリスクも十分に考慮に入れる必要があります。 季節ごとの具体的なメリット・デメリットや注意点については、もう少し詳しくみていきましょう。 工事時期はいつが良い?季節ごとのメリット・デメリット 春・秋が最もおすすめですが、それぞれの季節にメリット・デメリットがあり、工事の品質や工期、居住者の負担にも影響します。 季節 メリット デメリット 春・秋 気候が安定し、作業に適している(品質確保・工期通り進みやすい) 工事が集中する繁忙期(費用が高くなったり、業者を確保しにくくなる可能性) 夏 工事が比較的少なく、費用交渉がしやすい可能性あり 梅雨や台風による工期遅延リスクが高い 猛暑による作業効率低下・品質管理への注意・住民負担の増加 冬  (太平洋側など一部地域)晴天が多く空気が乾燥している場合あり 低温による施工制限や品質リスク(塗料・防水材の硬化不良など) 日照時間が短い、【特に東北など寒冷地】豪雪・凍結による作業中断リスクや安全確保の難しさ 春~初夏:安定気候で工事が順調に進みやすい 一般的に、3月~5月頃の春は、大規模修繕に最も適した季節とされています。 気温・湿度が安定しており、雨も比較的少ないため、塗装や防水工事の品質を確保しやすく、作業もスムーズに進みます。 工期の遅延リスクが低く、計画通りに完了しやすいのが最大のメリットです。 ただし、多くのマンションがこの時期に工事を希望するため、施工業者のスケジュールが埋まりやすく、見積もり費用も高くなる傾向があります。 早めの計画と業者選定が重要になります。 梅雨〜真夏・台風シーズン:費用交渉は有利?でもリスク有り 6月~9月頃は、梅雨や台風の影響を受けやすい時期です。 雨天が続くと、塗装や防水工事、シーリング工事などが中断せざるを得なくなり、工期が大幅に遅れるリスクが高まります。 また、夏場の高温多湿な環境は、作業員の体調管理や、塗料の品質管理(急激な乾燥によるひび割れなど)にも注意が必要です。 窓を開けられないことによる室内の熱気や湿気、エアコン使用による電気代増加など、居住者の生活負担も大きくなりがちです。 一方で、工事が少ない時期であるため、費用交渉がしやすくなります。 真冬:工事しやすいが、低温による施工制限も要注意 12月~2月頃の冬は、地域によって状況が大きく異なります。 太平洋側の一部地域では晴天が多く空気が乾燥し、比較的工事を進めやすい場合もあります。 しかし、気温が低い(一般的に5℃以下)と、塗料や防水材の乾燥・硬化に時間がかかったり、性能が十分に発揮されなかったりする「低温硬化不良」のリスクは共通して存在します。 特に、東北地方など冬の気候が厳しい地域では、より慎重な判断が必要です。 日本海側や山間部を中心に豪雪地帯が多く、降雪や凍結による作業の遅延・中断、安全確保の難しさ、資材搬入の困難さなどが頻繁に発生します。 太平洋側であっても、内陸部では厳しい冷え込みに見舞われ、低温による施工品質への影響は避けられません。 加えて、日照時間が短いことも、1日の作業時間を制限し、工期が延びる大きな要因となります。 冬期間の工事は、季節だけではなく、地域特有のリスクも十分に理解した上で計画する必要があります。 よくある疑問Q&A:マンション大規模修繕の時期・工期・費用 マンション大規模修繕の時期や期間、費用に関して、管理組合様からよく寄せられる質問にお答えします。 Q1:どれくらい前から準備を始めるのが理想? A1:一般的には、工事開始予定の2~3年前から準備を始めるのが理想的です。 例えば、築12年目での工事を目指すのであれば、築10年目を迎える頃には理事会で大規模修繕を議題に上げ、修繕委員会の設置などを検討し始めると良いでしょう。 前述の通り、合意形成には時間がかかります。 建物診断、基本計画策定、業者選定、住民説明会、総会決議といった流れを考慮すると、最低でも1年半~2年は必要です。 余裕を持ったスケジュールで準備を進めることで、住民の理解を得やすくなり、より良い修繕計画を立てられます。 専門家(マンション管理士やコンサルタント)に早期に相談しましょう。 Q2:大規模修繕工事の着工時期、多いのは何月? A2:気候が安定している春(3~5月)や秋(9~11月)に着工するケースが多いです。 先述したように、春や秋は、工事の品質を確保しやすく、工期通りに進めやすいというメリットがあります。 ただし、人気が高い時期は工事が集中するため、希望通りのスケジュールで業者を確保するのが難しかったり、費用が割高になったりする可能性も考慮する必要があります。 あえて繁忙期を避け、夏や冬に実施することで、費用を抑えられる場合もありますが、その際は天候リスクや施工上の注意点を十分に理解しておく必要があります。 Q3:工期はどれくらい?なるべく短くしたいのですが... A3:大規模修繕の工期はマンションの規模によって異なります。 ですが、弊社施工の目安としては5階建て以上のマンションで3ヶ月ほどの施工期間となります。 10階建ての場合は、4ヶ月ほどで時間が倍になることはありません。 ですが、工期が長引くことで居住者の負担や仮設費用が増えるため、可能であれば短縮したいですよね。 工期短縮には効率的な工程管理や天候リスクの少ない時期選びが基本ですが、足場を組まずに作業する「無足場工法(ロープアクセス工法)」という選択肢もあります。 この工法は、足場の設置・解体期間(通常1~2ヶ月)が不要になるため大幅な工期短縮が見込めます。 さらに、足場費用(工事費の約2割)の削減、防犯面での安心感向上、居住者の圧迫感軽減といったメリットもあります。 ただし、高所作業の安全管理がより重要になる点や、建物の形状や工事内容によっては、この工法が使えない場合もあります。 さらに重要な点として、無足場工法は、専門的な技術と経験が求められるため、対応できる業者は限られています。 私たち、ゆうき総業は、この無足場工法を得意としており、多くの実績があります。 🔗ゆうき総業の無足場工法について 工期短縮やコスト削減にご関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。 Q4:修繕積立金が不足しています... A4:値上げや一時金徴収、借入、補助金などを検討してください 計画していた大規模修繕の時期が近づいているのに、修繕積立金が不足している、というのは心配ですよね。実際に多くの管理組合で課題となる点です。 その場合の対策としては、主に以下のような方法が検討されます。 計画的な積立金の値上げ 一時金の徴収 金融機関からの借り入れ 滞納者への対応や補助金の活用 いずれの方法も管理組合の状況や合意形成の見込みなどを踏まえて慎重に判断する必要があります。 まとめ:マンション大規模修繕、最適な時期は「状態」と「計画」で見極めよう! マンション大規模修繕の最適な時期は、「築〇年」という画一的な周期だけで決まるものではありません。 建物の劣化状況はもちろん、法定調査のタイミング、管理組合での合意形成に必要な期間、工事に適した季節、他の改修工事との兼ね合いなど、様々な要素を総合的に考慮し、判断することが求められます。 「適切な時期を見極め、計画的に進めたいが、具体的にどう判断すべきか」 「工期やコストを可能な限り最適化したい」 こうした課題をお持ちの管理組合様も多いのではないでしょうか。 特に、工期短縮とコスト削減を両立させる手段として、足場を設置しない無足場工法が挙げられます。 私たちゆうき総業株式会社 仙台店は、仙台・宮城・東北エリアで大規模修繕の豊富な実績を有し、この無足場工法を強みとしております。 個々の建物の状況を正確に把握し、最適な修繕計画をご提案いたします。

【5分でわかる】マンション大規模修繕とは?費用・期間・工事内容まで完全ガイド

マンションをお持ちの方であれば、 「大規模修繕はいつ頃やるものなの?」 「費用はどれくらい見ておけばいいの?」 「工事中の暮らしはどうなるんだろう?」 といった疑問や不安を感じたことがあるのではないでしょうか。 十数年に一度の大きな出来事ですから、あらかじめ全体像をしっかりつかんでおくことが大切です。 この記事では、マンション大規模修繕の基本的な知識から、費用の相場、工事にかかる期間、具体的な工事内容、さらにはよくあるトラブルを避ける方法まで、管理組合の皆様や区分所有者の方が知っておくべきポイントをひと通り解説します。 計画と準備を適切に行い、安心して大規模修繕を進められるよう、すぐに役立つ情報をお届けします。 この記事でわかること 大規模修繕の費用相場と資金計画 工事の期間とスケジュール 具体的な工事内容と進め方 よくあるトラブルと回避策< 大規模修繕の基本:まず知っておきたいこと マンションの大規模修繕工事とは、ひとことで言えば、マンションの共用部分全体を対象に、十数年ごとに行う計画的な大きな工事のことです。 建物の外壁や屋上、共用廊下や階段、各種設備など、さまざまな箇所が工事の対象となります。 主な目的は、建物の劣化を防いで長く使えるようにし、皆様が安全で快適に暮らせる住環境を保ち、マンション全体の資産価値を守り高めることにあります。 よく似た言葉に「修繕」と「改修」がありますが、これらは意味合いが少し異なります。 修繕: 建物ができた当初の状態に「直す」工事。 改修: 元に戻すだけでなく、性能を「良くする」工事。 例えば、壊れた部分を直すのが「修繕」、より新しい設備に取り替えるのが「改修」と考えると分かりやすいでしょう。 そして、大規模修繕を計画的に進めるためには「長期修繕計画」が絶対に必要です。 これは、将来どのような工事がいつ頃必要になり、どれくらいの費用がかかるのかを長期的に見通す、いわばマンション修繕の設計図のようなもの。 この計画に沿って資金を準備し、適切なタイミングで工事を行うことが、成功への鍵を握ります。 なぜ必要?大規模修繕のタイミングと重要性 マンションは頑丈に造られていますが、日々の雨風や紫外線、気温の変化といった自然の影響を受け、年月とともに少しずつ劣化が進んでいきます。 建物を長く安全に、そして快適に使い続けるためには、この経年劣化のサインを見逃さず、適切な時期にメンテナンスが必要です。 これこそが、大規模修繕が求められる根本的な理由なのです。 建物の劣化サインを見逃すな!放置リスクと【修繕時期】の考え方 マンションの劣化は、外壁のひび割れ、塗装の剥がれや色あせ、屋上やバルコニーの防水層の亀裂、コンクリートの中性化やそれに伴う鉄筋の露出といった形で現れてきます。 これらのサインは、建物の耐久性や安全性に関わる「劣化サイン」です。 もし、これらの劣化を放置してしまうと、雨漏りが発生して室内に被害が及んだり、建物の構造体そのものが腐食して強度が低下したり、最悪の場合、外壁タイルが落下して通行人に危害を加えるといった事故に繋がる可能性も否定できません。 また、見た目の悪化は居住環境の快適性を損ない、防犯性の低下を招くこともあります。 では、大規模修繕はいつ頃行うべきなのでしょうか? 一般的には、新築時から12年~15年周期(国土交通省のデータでは初回の平均は約13年)で実施されることが多いと言われています。 しかし、これはあくまで目安であり、建物の立地条件や使用状況、前回の工事の品質などによって劣化の進み具合は異なります。 そのため、「何年経ったから必ず実施する」というよりも、定期的な建物診断を通じて劣化の状況を正確に把握し、専門家のアドバイスも参考にしながら、最適な【修繕時期】を見極めることが大切です。 大規模修繕を行う最適な時期については以下の記事でも詳しく解説しています。 東北地方は特に注意!凍害・雨漏りと資産価値を守る修繕計画 特に雪深く寒さの厳しい東北地方では、一般的な劣化に加え、特有の現象にも注意が必要です。 例えば、凍結によるコンクリートの傷み(凍害)や、屋根の雪が溶けてそこから雨漏り(東北ではすが漏りとも言います)です。 こうした地域特性を考慮した修繕計画が欠かせません。 大規模修繕は、マンションの「資産価値」を守り、高めるためにも非常に大切です。 劣化を放置すれば資産価値は下がりますが、定期的な修繕や時代に合わせた設備の更新で価値を高めることも可能です。 また、法律で定められた外壁の定期調査や、適切な修繕計画を求める「管理計画認定制度」など、法令も大規模修繕に関わってきます。 これらも踏まえた長期的な計画を立てることが、マンション管理のポイントです。 大規模修繕の費用:相場・資金計画・コスト削減のポイント マンション大規模修繕の中でも、もっとも気になるのは、やはり「費用」ではないでしょうか。 ここでは、費用のざっくりとした全体像とコスト削減の要点を解説します。 最新データで見る!大規模修繕の費用相場と修繕積立金 国土交通省の調査によれば、大規模修繕の総工費は工事回数を重ねるごとに増加する傾向があり、例えば1回目の工事では4,000万円~6,000万円が最も多い価格帯です。 出典:国土交通省 令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査 1戸あたりでは約100万円~150万円が目安となるケースが多いですが、マンションの規模や工事内容によって大きく変動します。 これらの費用は、毎月積み立てる「修繕積立金」で賄われます。 しかし、約4割のマンションで積立金が計画に対し不足しているというデータもあり、長期修繕計画に基づいた適切な積立金額の設定と定期的な見直しが必須です。 大規模修繕の費用相場や追加のコスト、積立金不足についてもさらに詳しく知りたい方は以下の記事で詳しく解説しています。 コストを削減するにはどうしたらいい? 大規模修繕の費用は高額になりがちですが、工夫次第でコストを抑えることも可能です。 主なポイントは以下の通りです。 コストを抑える主なポイント 工事の優先順位付けと段階的施工:<SPBR>一度の大きな支出を避け、資金計画に合わせた対応を検討します。緊急度の高い箇所から先行して着手し、支払いを分散させるアプローチです。 工事方法の工夫:<SPBR>足場を組まない「無足場工法(ロープアクセス工法)」は、足場費用を大幅に削減できる可能性があります。 補助金・助成金の活用:<SPBR>国や自治体の制度を利用できないか確認しましょう(対象や時期は要確認)。 複数業者による相見積もり:<SPBR>内容や費用を比較し、適正価格での発注と品質確保を目指します。少なくとも2~3社から見積もりを取得しましょう。 中でも、無足場工法は、仮設費用の20~50%を削減することができ、ゆうき総業の事例では、120万円のコスト削減につながった事例もあります。 詳しくは下記ページで解説していますので、ぜひご確認ください。 補助金や助成金の活用をお考えの方は下記記事で詳しく解説しています。 大規模修繕の期間:計画から完了までの流れ マンションの大規模修繕プロジェクトは、実際に工事が始まってから終わるまでの期間だけでなく、その前の準備段階から数えると、非常に長期にわたるものです。 ここでは、全体のスケジュール感と、工事期間中の生活への影響について、基本的なポイントを解説します。 全体スケジュールと各フェーズの期間目安 大規模修繕プロジェクトは、大きく分けて以下の主要なフェーズで進められます。 ①計画策定・住民説明(準備段階): 現状の建物診断、修繕範囲や内容の検討、予算案の作成、長期修繕計画の見直し、住民への説明会の開催、アンケート実施など。 ②設計監理・業者選定段階: 修繕設計図書の作成、工事仕様の決定、施工業者の公募・選定(見積もり比較、ヒアリングなど)、工事請負契約の締結。 期間目安:数ヶ月程度。 ③工事着工~完了(工事段階): 実際に工事が開始され、完了検査を経て引き渡しが行われるまで。 期間目安:マンションの規模により大きく異なります。大規模なマンションだと1年近くかかることも。 ④完了段階: 工事完了後の報告会、アフター点検の実施など。 重要なポイント 最も時間がかかるのは準備段階(1~2年) 工事期間はマンション規模で大きく変わる(3ヶ月~1年以上) 計画スタートから工事完了まで、トータルで2~3年以上 特に工事期間は、小規模マンション(50戸未満)で3~4ヶ月程度、大規模マンション(100戸以上)では6ヶ月~1年以上と大きく異なります。 また、天候不順などにより工期が延長されることもあるため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。 このように、計画スタートから工事完了までトータルで見ると、2年から3年、あるいはそれ以上を要する一大プロジェクトであることがお分かりいただけるかと思います。 各工程の具体的なスケジュールや作業内容は下記ページにて解説しています。併せてご覧ください。 要注意!工事期間中の生活への影響と対策 実際に大規模修繕の工事が始まると、居住者の皆様の日常生活にも様々な影響が出ることが予想されます。 代表的なものとしては、以下のようなキーワードが挙げられます。 騒音・振動: ドリルやハンマーの音、塗料の吹き付け音など。 臭気: 塗料や溶剤のにおい。 足場設置による影響: バルコニーや窓からの景観の悪化、日照不足、防犯面での不安。 バルコニー使用制限: 洗濯物が干せない、エアコンの室外機周りの作業で使用制限があるなど。 プライバシー: 作業員が窓の近くで作業することによる視線。 共用部分の利用制限: エレベーターの養生、廊下や階段の一部通行止めなど。 これらの生活への影響を完全に無くすことは難しいですが、ストレスを少しでも軽減するためには、 管理組合と施工業者が連携し、事前に詳細な工事スケジュールや注意事項を住民に周知徹底すること 工事説明会を丁寧に開催すること 工事に関する問い合わせ窓口を設けること などが重要です。 また、場合によっては仮のワークスペースを共用施設に設けるといった配慮も考えられます。 騒音やエアコンなどそれぞれの具体的な対策より詳しく知りたい方は下記記事もごご覧ください。 大規模修繕の工事内容と進め方のポイント 「大規模修繕では具体的にどんな工事をするの?」「どうやってプロジェクトを進めていけば失敗しないの?」といった疑問は、多くの管理組合様が抱えるところでしょう。 ここでは、主要な工事の種類とその目的、そしてプロジェクトを成功に導くための進め方や住民合意のコツについて、基本的なキーワードを解説します。 何をするの?主な工事の種類と目的・注意点(東北事例含む) 大規模修繕で行われる代表的な工事には、以下のようなものがあります。 外回り工事 外壁塗装工事:美観維持と雨水・紫外線からの保護(塗料選定が重要) 屋上防水工事:雨漏り防止と躯体保護(工法選定が鍵) シーリング打替え工事:目地やサッシ周りの防水・気密性確保 タイル補修工事:浮きや剥がれ補修で落下事故防止 構造・設備工事 下地補修工事:ひび割れやコンクリート欠損の補修 鉄部塗装工事:手すりや階段の錆防止(錆止め処理が不可欠) 給排水管更新・更生工事:漏水や赤水対策(更新か更生かの判断が重要) 共用部改修工事:エントランスや廊下の美観・機能性向上 これらの工事は、マンションの見た目をきれいに保つだけでなく、雨漏りを防いだり、建物の強度を維持したりと、安全で快適な住環境を守るために非常に重要です。 特に外壁や屋上に関する工事は、建物を自然環境から守るという大きな役割があります。 また、給排水管のような設備工事は、日々の生活の質に直結します。 工事を行う際には、その地域の気候特性を十分に考慮することも大切です。 特に雪が多く、寒さの厳しい東北地方では、一般的な劣化に加えて、以下のような点にも注意が必要です。 凍害対策: 冬季の凍結融解によるコンクリートやタイルの劣化を防ぐための材料選定や施工方法の検討。 適切な材料選定: 低温環境下でも性能を維持できる塗料や防水材の選定。 冬季施工の制約: 降雪や低温による作業効率の低下や品質確保の難しさ。 このように、大規模修繕は多岐にわたる工事を含んでおり、それぞれの工事がマンションの維持管理において大切な意味を持っています。 失敗しない!プロジェクトの進め方と住民合意のコツ 大規模修繕という長期間にわたる複雑なプロジェクトを成功させるには、段取りの良い進め方と、何よりも住民の皆様の理解と協力、つまり「合意形成」が不可欠です。 具体的にどのようなステップで進め、どうすれば住民の皆様とスムーズに合意を形成できるのか、その基本的な進め方とポイントを見ていきましょう。 プロジェクトの基本的な進め方 大規模修繕は、一般的に以下のようなステップで進められます。計画から完了まで、管理組合が主体となって着実に進めていきます。 準備・計画段階: <SPBR>修繕委員会の設置、建物診断の実施、長期修繕計画の見直し、工事の基本方針決定 設計・コンサルタント選定段階: <SPBR>設計事務所やコンサルタント会社を選定し、詳細な修繕設計や工事仕様書を作成 施工業者選定段階: <SPBR>複数の施工業者から見積もりを取り、技術力や実績、提案内容などを比較検討して業者を決定 工事実施・監理段階: <SPBR>工事の進捗状況や品質を監理者がチェック。住民への定期的な情報提供 完了・アフターケア段階: <SPBR>完了検査、引き渡し、アフターサービスの確認 これらの各段階を丁寧に進めることが、最終的な工事の品質と満足度につながります。 特に、準備・計画段階での情報収集や方針決定、そして信頼できるパートナー選びが、プロジェクト全体の成否を大きく左右すると言えるでしょう。 住民合意形成のポイント これらのステップを円滑に進める上で、もっとも時間と労力を要し、かつもっとも重要なのが「住民合意形成」です。 大規模修繕は区分所有者全員に関わる大きな事業であり、費用負担も伴うため、全員の納得と協力を得ることが成功の絶対条件となります。 スムーズな合意形成を実現するための大切なポイントは以下の通りです。 情報公開の徹底: <SPBR>劣化診断の結果や修繕計画案、見積もり内容などを透明性を持って公開 丁寧な説明と対話: <SPBR>説明会やアンケート、個別相談などを通じて、住民の疑問や不安に丁寧に対応 意見聴取とフィードバック: <SPBR>住民からの意見や要望を真摯に受け止め、計画に反映できるものは反映し、難しい場合はその理由を説明 段階的な合意形成: <SPBR>一度に全てを決めようとせず、重要なポイントごとに段階的に合意を獲得 これらのポイントを意識し、住民一人ひとりと向き合い、丁寧なコミュニケーションを重ねることが、大規模修繕を成功に導くための鍵となります。 適切な準備と信頼できるパートナーを選択することで、よりスムーズな進行が期待できるでしょう。 ただし、どれだけ丁寧に計画を立て、準備を重ねても、大規模修繕ではさまざまな問題が起こる可能性も残念ながらゼロではありません。 大規模修繕で起こりがちなトラブルとは? マンション大規模修繕は、多くの関係者が関わり、長期間にわたる複雑なプロジェクトです。そのため、残念ながら様々なトラブルが発生する可能性も潜んでいます。 マンション大規模修繕で起こりがちな主なトラブルとしては、以下のようなものが挙げられます。 費用に関する問題(修繕積立金不足、予算オーバー、負担割合の不一致) 工事の品質問題(施工不良、仕上がりの相違) 工事中の生活影響(騒音・振動、プライバシー侵害) 住民間のコミュニケーション不足(情報共有不足、意見対立) 業者選定の失敗(技術力不足、コミュニケーション不良) これらの問題を未然に防ぐためには、透明性のある情報共有と合意形成、事前の十分な調査と計画、円滑なコミュニケーションの確保、信頼できる専門家の選定、適切な工事監理といった基本的な考え方を持つことが重要です。 適切な準備と信頼できるパートナー選びにより、多くのトラブルは回避できます。 マンションの大規模修繕時に起こりがちなトラブルについては、関連記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 まとめ:大規模修繕は、必ず専門性の高い業者に依頼しよう! ここまで解説してきたように、マンション大規模修繕は費用相場や工期の把握から、具体的な工事内容、そしてトラブル回避まで、多角的な知識が必要な一大プロジェクトです。 1戸あたり100万円を超える費用負担、計画から完了まで2~3年におよぶ長期スケジュール、外壁塗装から防水工事まで多岐にわたる工事内容、そして約40%のマンションが直面する修繕積立金不足の問題など、管理組合が直面する課題は複雑です。 特に東北地方では凍害や雨漏りなど地域特有の劣化にも対応する必要があり、地域の気候特性を理解した専門性の高い業者選定が成功の鍵となります。 私たちゆうき総業は、東北の気候特性を熟知し、無足場工法により最大20%以上のコスト削減実績を持つ大規模修繕の専門家です。 山形本社と仙台支店を拠点に、お客様のマンションに最適な修繕計画をご提案いたします。 まずはお気軽にご相談ください。

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