積立金不足?マンションの大規模修繕費用が払えないケースとその対処法を解説!
目次
【大前提】大規模修繕は定期的に実施しなければならない
マンションやアパートなどの管理者の場合、建物は大規模修繕という定期的なメンテナンス工事を行うことが法律で義務付けられています。実施周期については建物の劣化状況によっても異なりますが、一般的には12年周期で行わなければなりません。
大規模修繕の周期については下記記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
マンションの大規模修繕の適切な周期(タイミング)とは|12年?15年?18年?
【大前提】大規模修繕は定期的に実施しなければならない マンションやアパートなどの管理者の場合、建物は大規模修繕という定期的なメンテナンス工事を行うことが法律で義務付けられています。実施周期については建物の劣化状況によっても異なりますが、一般的には12年周期で行わなければなりません。 大規模修繕の周期については下記記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。 よくある「修繕費用が払えない事例」とは? 「修繕積立金」が足りなかった(オーナー負担額が多かった) 修繕費用が払えない最も一般的な理由は、修繕積立金の不足です。 多くのマンションでは、毎月の修繕積立金を住民から集めていますが、その額が適切でない場合、必要な修繕費用を賄うことができません。国土交通省のガイドラインに基づいて積立金を設定することが推奨されていますが、実際には多くのマンションでこの基準を満たしていないのが現状です。積立金の設定が低すぎると、将来的な大規模修繕に対応できないリスクがあります。 自然災害などで「突発的な修繕」が必要になった 突発的な事故や自然災害によって、予期せぬ修繕が必要になることがあります。地震や台風などの自然災害による損傷や、設備の突然の故障などが挙げられます。これらの予期せぬ事態により、計画していた修繕費用が不足することがあります。予備費を設けておくことが、これらの事態に備えるために重要です。 費用を払えない場合はどうすべき? 大規模修繕の費用は高額になることが多く、マンションオーナーや管理組合にとって大きな負担となる場合があります。費用が払えない場合の対策として、いくつかの方法が考えられます。 方法1:計画的な修繕積立金の値上げで負担を軽減 修繕積立金を計画的に値上げすることで、必要な費用を補填する方法があります。総会での決議が必要となりますが、居住者に一時的な負担をかけずに済むというメリットがあります。長期的な視点に立ち、計画的に積立金を調整することが重要です。 方法2:一時金徴収で急な費用不足を補う 急な費用不足に対応するために、一時的にまとまった金額を徴収する方法もあります。 これも総会での決議が必要であり、住民にとっては大きな負担となる可能性があります。しかし、緊急の費用不足を補うことができるため、状況によっては検討に値する選択肢と言えます。 方法3:金融機関からの借入で資金を確保 金融機関からの借入も、大規模修繕費用を確保する一つの方法です。早急に費用を用意できるというメリットがありますが、利息が発生するため、総額は大きくなってしまう点に注意が必要です。借入期間や返済方法について、慎重に検討することが求められます。 方法4:工事の延期で費用負担を先送りにする どうしても費用が不足している場合、工事を延期することも検討の余地があります。ただし、建物の劣化が進行するリスクがあるため、安易な判断は避けるべきでしょう。優先順位を見極め、できる限り早期に必要な修繕を行うことが望ましいと言えます。 「工事周期の延期ができるか?」については下記記事でより詳しく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。 修繕費用不足を避けるために「オーナーが行うべき施策」 長期修繕計画の適切な作成と見直し 長期修繕計画は、マンションの修繕積立金の基礎となる重要な計画です。 この計画が適切でないと、将来的に必要な修繕費用が不足する可能性があります。計画を作成する際には、専門家の意見を取り入れ、設備の寿命や修繕費用、物価上昇などを考慮することが重要です。また、定期的に見直しを行い、現状に即した計画に更新することが必要です。 修繕積立金の適正な設定 修繕積立金の金額設定は、長期修繕計画に基づいて行われますが、初期設定が低すぎると将来的に不足するリスクが高まります。国土交通省のガイドラインを参考にし、適正な金額を設定することが重要です。また、新築マンションの場合、販売時に修繕積立金が低く設定されることが多いため、購入時にその点を確認し、必要に応じて見直すことが必要です。 均等積立方式の採用 修繕積立金の徴収方法には「均等積立方式」と「段階増額積立方式」があります。均等積立方式は、毎月一定額を徴収する方式で、長期的に安定した積立が可能です。一方、段階増額積立方式は、将来的に積立金を増額する方式で、値上げの際に住民の合意を得るのが難しい場合があります。均等積立方式を採用することで、将来的な資金不足のリスクを軽減できます。 滞納者への対策 修繕積立金の滞納が増えると、計画通りに資金が集まらず、修繕費用が不足する原因となります。滞納者に対しては、早期に催告を行い、滞納を常態化させないことが重要です。また、管理組合として滞納者への対策を明確にし、住民全員が納得できるルールを設けることが必要です。
よくある「修繕費用が払えない事例」とは?
「修繕積立金」が足りなかった(オーナー負担額が多かった)
修繕費用が払えない最も一般的な理由は、修繕積立金の不足です。
多くのマンションでは、毎月の修繕積立金を住民から集めていますが、その額が適切でない場合、必要な修繕費用を賄うことができません。国土交通省のガイドラインに基づいて積立金を設定することが推奨されていますが、実際には多くのマンションでこの基準を満たしていないのが現状です。積立金の設定が低すぎると、将来的な大規模修繕に対応できないリスクがあります。
自然災害などで「突発的な修繕」が必要になった
突発的な事故や自然災害によって、予期せぬ修繕が必要になることがあります。地震や台風などの自然災害による損傷や、設備の突然の故障などが挙げられます。これらの予期せぬ事態により、計画していた修繕費用が不足することがあります。予備費を設けておくことが、これらの事態に備えるために重要です。
費用を払えない場合はどうすべき?
大規模修繕の費用は高額になることが多く、マンションオーナーや管理組合にとって大きな負担となる場合があります。費用が払えない場合の対策として、いくつかの方法が考えられます。
方法1:計画的な修繕積立金の値上げで負担を軽減
修繕積立金を計画的に値上げすることで、必要な費用を補填する方法があります。総会での決議が必要となりますが、居住者に一時的な負担をかけずに済むというメリットがあります。長期的な視点に立ち、計画的に積立金を調整することが重要です。
方法2:一時金徴収で急な費用不足を補う
急な費用不足に対応するために、一時的にまとまった金額を徴収する方法もあります。
これも総会での決議が必要であり、住民にとっては大きな負担となる可能性があります。しかし、緊急の費用不足を補うことができるため、状況によっては検討に値する選択肢と言えます。
方法3:金融機関からの借入で資金を確保
金融機関からの借入も、大規模修繕費用を確保する一つの方法です。早急に費用を用意できるというメリットがありますが、利息が発生するため、総額は大きくなってしまう点に注意が必要です。借入期間や返済方法について、慎重に検討することが求められます。
方法4:工事の延期で費用負担を先送りにする
どうしても費用が不足している場合、工事を延期することも検討の余地があります。ただし、建物の劣化が進行するリスクがあるため、安易な判断は避けるべきでしょう。優先順位を見極め、できる限り早期に必要な修繕を行うことが望ましいと言えます。
「工事周期の延期ができるか?」については下記記事でより詳しく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
大規模修繕の周期は12年→18年に延長できる?建物の劣化状況の診断が大切
【大前提】大規模修繕は定期的に実施しなければならない マンションやアパートなどの管理者の場合、建物は大規模修繕という定期的なメンテナンス工事を行うことが法律で義務付けられています。実施周期については建物の劣化状況によっても異なりますが、一般的には12年周期で行わなければなりません。 大規模修繕の周期については下記記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。 よくある「修繕費用が払えない事例」とは? 「修繕積立金」が足りなかった(オーナー負担額が多かった) 修繕費用が払えない最も一般的な理由は、修繕積立金の不足です。 多くのマンションでは、毎月の修繕積立金を住民から集めていますが、その額が適切でない場合、必要な修繕費用を賄うことができません。国土交通省のガイドラインに基づいて積立金を設定することが推奨されていますが、実際には多くのマンションでこの基準を満たしていないのが現状です。積立金の設定が低すぎると、将来的な大規模修繕に対応できないリスクがあります。 自然災害などで「突発的な修繕」が必要になった 突発的な事故や自然災害によって、予期せぬ修繕が必要になることがあります。地震や台風などの自然災害による損傷や、設備の突然の故障などが挙げられます。これらの予期せぬ事態により、計画していた修繕費用が不足することがあります。予備費を設けておくことが、これらの事態に備えるために重要です。 費用を払えない場合はどうすべき? 大規模修繕の費用は高額になることが多く、マンションオーナーや管理組合にとって大きな負担となる場合があります。費用が払えない場合の対策として、いくつかの方法が考えられます。 方法1:計画的な修繕積立金の値上げで負担を軽減 修繕積立金を計画的に値上げすることで、必要な費用を補填する方法があります。総会での決議が必要となりますが、居住者に一時的な負担をかけずに済むというメリットがあります。長期的な視点に立ち、計画的に積立金を調整することが重要です。 方法2:一時金徴収で急な費用不足を補う 急な費用不足に対応するために、一時的にまとまった金額を徴収する方法もあります。 これも総会での決議が必要であり、住民にとっては大きな負担となる可能性があります。しかし、緊急の費用不足を補うことができるため、状況によっては検討に値する選択肢と言えます。 方法3:金融機関からの借入で資金を確保 金融機関からの借入も、大規模修繕費用を確保する一つの方法です。早急に費用を用意できるというメリットがありますが、利息が発生するため、総額は大きくなってしまう点に注意が必要です。借入期間や返済方法について、慎重に検討することが求められます。 方法4:工事の延期で費用負担を先送りにする どうしても費用が不足している場合、工事を延期することも検討の余地があります。ただし、建物の劣化が進行するリスクがあるため、安易な判断は避けるべきでしょう。優先順位を見極め、できる限り早期に必要な修繕を行うことが望ましいと言えます。 「工事周期の延期ができるか?」については下記記事でより詳しく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。 修繕費用不足を避けるために「オーナーが行うべき施策」 長期修繕計画の適切な作成と見直し 長期修繕計画は、マンションの修繕積立金の基礎となる重要な計画です。 この計画が適切でないと、将来的に必要な修繕費用が不足する可能性があります。計画を作成する際には、専門家の意見を取り入れ、設備の寿命や修繕費用、物価上昇などを考慮することが重要です。また、定期的に見直しを行い、現状に即した計画に更新することが必要です。 修繕積立金の適正な設定 修繕積立金の金額設定は、長期修繕計画に基づいて行われますが、初期設定が低すぎると将来的に不足するリスクが高まります。国土交通省のガイドラインを参考にし、適正な金額を設定することが重要です。また、新築マンションの場合、販売時に修繕積立金が低く設定されることが多いため、購入時にその点を確認し、必要に応じて見直すことが必要です。 均等積立方式の採用 修繕積立金の徴収方法には「均等積立方式」と「段階増額積立方式」があります。均等積立方式は、毎月一定額を徴収する方式で、長期的に安定した積立が可能です。一方、段階増額積立方式は、将来的に積立金を増額する方式で、値上げの際に住民の合意を得るのが難しい場合があります。均等積立方式を採用することで、将来的な資金不足のリスクを軽減できます。 滞納者への対策 修繕積立金の滞納が増えると、計画通りに資金が集まらず、修繕費用が不足する原因となります。滞納者に対しては、早期に催告を行い、滞納を常態化させないことが重要です。また、管理組合として滞納者への対策を明確にし、住民全員が納得できるルールを設けることが必要です。
修繕費用不足を避けるために「オーナーが行うべき施策」
長期修繕計画の適切な作成と見直し
長期修繕計画は、マンションの修繕積立金の基礎となる重要な計画です。
この計画が適切でないと、将来的に必要な修繕費用が不足する可能性があります。計画を作成する際には、専門家の意見を取り入れ、設備の寿命や修繕費用、物価上昇などを考慮することが重要です。また、定期的に見直しを行い、現状に即した計画に更新することが必要です。
修繕積立金の適正な設定
修繕積立金の金額設定は、長期修繕計画に基づいて行われますが、初期設定が低すぎると将来的に不足するリスクが高まります。国土交通省のガイドラインを参考にし、適正な金額を設定することが重要です。また、新築マンションの場合、販売時に修繕積立金が低く設定されることが多いため、購入時にその点を確認し、必要に応じて見直すことが必要です。
均等積立方式の採用
修繕積立金の徴収方法には「均等積立方式」と「段階増額積立方式」があります。均等積立方式は、毎月一定額を徴収する方式で、長期的に安定した積立が可能です。一方、段階増額積立方式は、将来的に積立金を増額する方式で、値上げの際に住民の合意を得るのが難しい場合があります。均等積立方式を採用することで、将来的な資金不足のリスクを軽減できます。
滞納者への対策
修繕積立金の滞納が増えると、計画通りに資金が集まらず、修繕費用が不足する原因となります。滞納者に対しては、早期に催告を行い、滞納を常態化させないことが重要です。また、管理組合として滞納者への対策を明確にし、住民全員が納得できるルールを設けることが必要です。
この記事を書いた人
結城 伸太郎
職歴:27年
得意分野:防水工事・外構工事・大規模改修管理業務
保有資格:1級建築施工管理技士、1級建築塗装技能士、1級ポリマーセメント防水、1級改質アスファルト防水、外壁1級仕上げ技能者、防水登録基幹技能者、外壁仕上基幹技能者、国際ライセンス サーモグラファーレベル1、監理技術者、職長安全衛生教育、他